麻酔科勤務医のお勉強日記

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zoom RSS 麻酔科を選んだ理由 その3

<<   作成日時 : 2017/03/16 12:59   >>

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4.「機械が好き!?」
医学部に入る前の予備校生時代に嵌ったのは「インベーダー・ゲーム」だった。同じ下宿屋に住む予備校生と勉強の合間に喫茶店に行っては、何度も何度も高得点を目指して競い合ったものだ。

私が医学生の頃に、日本で最初のパーソナルコンピュータが発売された。ワープロさえ動作しない、「BASIC」というプログラミング言語が使えるだけの何の役にも立たない箱だった。日本電気の PC-8000 というパソコン(当時は「マイコン」と呼ばれた)だ。仕送りしてもらったお金を少しずつ貯めて「マイコン」を購入した。そして、若干のプログラミングの基礎を学んだ。

人間というのは、非常に曖昧で、いい加減な生き物である。昨日言ったことと今日言ったことが違うということはよくあることで、いつも同じ返事が返ってくるとは限らない。記憶も非常にあやふやで、大臣を務めるような人でさえ、10 年以上前のこととなると「そのような人と契約したことはありません。」と断言さえしてしまう。

しかし、機械(コンピュータ)は、いつも同じ結果を返してくるし、非常に正確で嘘がない。コンピュータを相手にプログラミングとかしていると、「この挙動はおかしい、絶対にプログラミング言語自体のバグだ」と思ったことが何度もあるが、いつも決まって自分のプログラミング・ミスだった。

麻酔科医の仕事の最も重要な部分である手術室での麻酔診療に限っては、ほとんど常に「生体監視モニター」と「麻酔器」という2つの機械を使用している。このうちどちらか一つが欠けても満足な麻酔診療は行えない。

私が麻酔科医を志した頃、他の診療科で、「この機械がないと俺の仕事はできないよ。」という診療科は少なかった。そういった意味では、かなり機械に依存した診療科と言える。もしも停電になったら、安全に麻酔を行うことは不可能だろう。

麻酔診療を行う上で、術前診察時や麻酔の前後では、患者とコミュニケーションを取る機会があるが、麻酔下の患者、意識のない患者は、その職業や社会的地位、性格などいわゆる人間的側面とは無関係に、一個の生命体にすぎない。

麻酔診療中。麻酔科医は患者が発する情報を生体監視モニター上に表示される数字や波形からから取得して、生体内で起こっている事象・挙動を推察し、薬剤を追加投与したり、シリンジポンプの流量を増減したり、麻酔器の吸入麻酔薬のダイアルや人工呼吸器の設定を調節していく。

一旦麻酔が導入されてしまえば、患者と麻酔科医の間には、いわゆる「人間関係」とか「対人関係」と言うものは存在しない。手術を担うチームの一員として、「麻酔科医はコミュニケーション能力が低くても良い」とは言えないが、患者とのコミュニケーションは他の一般診療科ほどには必要ない。

全身麻酔の導入と覚醒は、航空機の離陸と着陸に、麻酔科医はそのパイロットに例えられることがあるが、確かに似た所があるだろう。パイロットの役目は、旅客を安全に目的地まで搬送することだ。麻酔科医の役目は、手術を受ける患者を安全に手術終了まで導き、覚醒させることだ。

麻酔科医もパイロットと同様に、通常は機械を相手に業務を遂行しているが、パイロットはあくまで機械をコントロールするのが業務だが、麻酔科医の場合は、究極的には患者と言う生体をコントロールするのが仕事だ。機械を相手にしながら患者という生体をコントロールする、そんなところが魅力だったのかな。

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