腹部大動脈瘤の緊急手術を受ける患者で死亡率に関連する予後因子

Prognostic factors associated with mortality in patients undergoing emergency surgery for abdominal aortic aneurysms

Journal of Anesthesia published online 24, June 2011

・破裂腹部大動脈瘤(AAA)対する緊急手術後の手術死亡率は、依然として高い。本研究では、当院での死亡率を調査し、AAA緊急修復術を受ける患者の死亡率に影響を及ぼす予後因子を確認した。
・2005年1月~2010年6月に、合計42人の患者がAAAの緊急手術を受け、本後向き研究の対象とした。診療録をレビューして、各患者に関する以下の変数を収集し、生存群と非生存群の間で比較した: 年齢;性;術前ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Ht)、血小板(Plt)、BE、血清グルコース、血清乳酸値;低血圧(収縮期血圧<80mmHg)と定義される術前ショックの存在;輸血の発生率、AAAが破裂か、切迫か;入院あるいは手術室到着から大動脈クロスクランプまでの時間;手術所要時間;術中出血量と輸血量、総輸液量、尿量。

・9人の患者は、術後30日以内に死亡した(30日死亡率 21.4%)。 これらの9人の非生存者のうち、8例では持続的な術前ショックを示していた(P=0.0004 vs 生存者)。生存群と比較して、非生存群は、有意に高齢であり(P=0.0052)、術前Hb/Ht値(P<0.0001)、Plt(P=0.0003)、BE(P<0.0001)が低く、乳酸値(P=0.0048)が高く、入院(P=0.0459)、あるいは手術室到着(P=0.0288)から大動脈クランプまでの時間が短く、術中出血量が多く(P=0.0038)、大量輸血(P=0.0083)と低尿量(P=0.0004)を伴っていた。

・著者らは、年齢や術前ショックの持続、大量出血と貧血を伴う大量輸血といった特定の症候が、AAAの緊急手術を受ける患者の死亡率に影響する因子であることを明らかにした。循環動態の悪化が始まる前に大量出血に起因する術前ショックと貧血を是正することが非常に重要かもしれない。

[!]:久留米大学の研究だ。ショック状態を是正することは、血圧を上昇させて出血を助長することにもなる危険性がある。低血圧を維持しつつ、早期の大動脈クロスクランプと、重症外傷に準じた輸血戦略「赤血球:FFP:血小板=1:1:1」が有効なのではないだろうか。

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