小児急速吸入導入のツボ

ドラマ「医龍」に登場する「阿部サダヲ」扮する麻酔科医荒瀬は、「ひとーつ、ふたーつ、・・・・・、にゃにゃーつ。はい、落ちた~!」なんてやってますが、あれを見てどう思うだろうか?

あそこまで早くなくても「ここの~つ」くらいで、
「じゃ、お母さん、もう寝られたみたいですので、ありがとうございました。」と退室を促すことができる急速吸入麻酔のコツを伝授(というほどのことでもないが・・・)しよう。

当たり前のことだが、最高濃度のセボフルランをかがせて吸入導入するのである。

患児にマスクを当てる前に、麻酔回路全体を、最高濃度の亜酸化窒素とセボフルレンで満たしておくことが重要である。気化器のダイアルを回して最高濃度(通常5%)にセットしただけでは、なかなかセボフルラン濃度は上がってこない。

十分に濃度が上がっていない状況で、マスクを装着してしまうと、徐々にしか麻酔濃度が上がらないために、興奮期を惹起してしまい、患児は体をくねらせたり、首を振ったりと嫌がる動作を親御さんにみせつけて、不安を煽ってしまうことになる。

麻酔回路のマスクを接続するLコネクタ部分でマスクを外して、回路の先端を親指で閉塞して、最高濃度(流量)の亜酸化窒素と最高濃度のセボフルランを流し始める。しばらく流して、麻酔バッグが膨らんできたらこれをしっかり萎ませてしまって、麻酔ガス濃度が薄いガスは、ガス排除装置の方に追いやってしまう。これを2回繰り返す。

そして今度、バッグが十分に膨らんできたら、麻酔回路は最高濃度の麻酔ガスで満たされていることになる。一般に麻酔器内のガスの通り道は回路部分を含めると4~5Lもあるので、その部分がすべて高濃度の麻酔ガスで満たされるには、10L/分で流しても30秒以上はかかる。

麻酔器側の準備は以上である。

一方、患児側には、マスクを見せながら、
「これからね、こんなマスクっていうのをお顔に当てるからね。力いっぱい吐いてね。一回練習してみようか?」ポイントは「吐いてね!」と言うことだ。

「はい、力いっぱい吸って~~~~~、吐いて~~~~~!」

「よし、上手だね~~、その調子!」とおだてる。

「じゃ、本番行くよお~!」と言って、

「はい、力いっぱい吸って~~~~~」と言って、患児が息をいっぱい吸うのを確認し(この時まではマスクは当てない)、患児の呼吸が呼気に転ずる瞬間にマスクを当てる。

「はい、吐いて~~~~~~!」大きく息を吐いた患児は、次は吸わざるを得ない。

嫌がる動作をするよりも、息を吐き切った次に最も必要な動作は吸気動作である。
これで、最高濃度の麻酔ガスを吸入し始めた。

後は、「はい、もういっか~~~~い!」

「2か~~~~い。」

「3か~~~~い。がんばれ!」

「4か~~~~い。上手だね~~~。」

と続けてゆく。

「10か~~~~い。」までできる子は少ない。

● ポイント

(1)麻酔回路を高濃度麻酔ガスでしっかりと満たしておくこと。

(2)しっかり吐かせること。結果的にしっかり吸うことになる。

(3)励まし、おだてること。

ここまで読んでくれた人、ありがとう。
「くだらね~、あったりめーだろ~が!!」と思った人、ごめんなさい。

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