ラリンジアルマスク挿入の理論

ラリンジアル・マスク・エアウェイ(以下、ラリンジアル)は、「挿入は簡単」とされているが、最初触り始めたころは、意外とうまく挿入できない事が多かった。しかし、挿入の理論的側面が理解できてからは、格段に挿入成功率が上がったので、その点について記しておく。

ラリンジアル挿入についても一冊の本になるくらいなので、いろいろと奥深いことがあるのでしょう。そして、その本にはすべてが記されているんでしょうが、自分では読む気力もないので、その本に書いてあることとは矛盾するようなこともあるかもしれませんが悪しからず。

まず、ラリンジアル挿入に際して、起こりうる2つの障害を知っておこう。

(1)1つは、ラリンジアルの先端が咽頭後壁にぶつかってうまく挿入できない場合、あるいは、先端が反対側にめくれ返ってしまったまま挿入されてしまう場合があること。
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(2)2つ目は、咽頭後壁を進んで行くときに喉頭蓋を押し込んで、いわゆる「ダウン・フォールディング(down-folding)」が起こってしまい、喉頭蓋が喉頭を塞いで換気不能に陥る場合があること。
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1つ目の現象を起こりにくくするためには、口腔軸と咽頭軸を正常の90度よりも広角にするために頸部を後屈することである。
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正常の頭位では、口腔軸と咽頭軸はほぼ90度の角度である。これは、トラキライト挿管の時にワンドを90度に曲げてホッケースティック状にすることと、挿管用ラリンジアルマスク「ファースト・ラック」の金属製導管が約90度の角度であることからも伺われる。

つまり正常の頭位でラリジンアルを挿入しようとすると、ラリンジアル先端は咽頭後壁に垂直にぶつかることになり、頭側に進もうか、尾側に進もうか迷う原因となるのである。頭部を後屈することで、口腔軸と咽頭時の角度が90度よりも大きくなり、尾側にスムーズに進むことができ、反対側にめくれ返ることが少なくなる。

さらに、クラシカル挿入法で気を付けるべき点は、マスク部分をしっかり硬口蓋に押し当てて、ラリンジアルの先端が、挿入している術者の腹に向くようすることである。これを「切腹スタイル」と呼んでいる。

また、別の回避法は、クラシカル法ではなく別の挿入方法を用いることである。ラリンジアルを通常の軸方向から90度回転、あるいは180度回転(経口エアウェイと同じやり方)させた状態で咽頭腔にまで進めておいて、めくれ返る事がなくなった時点で本来の軸方向に戻してやることにより、咽頭後壁に先端がぶち当たらないようにするのである。

2つ目の現象「ダウン・フォールディング」を起こりにくくするためには、頭部後屈でもある程度効果はあるのであるが、さらに下顎を引き上げて、いわゆる「受け顎」の状態にすることで、咽頭後壁と喉頭蓋の間にラリンジアルの先端が滑り込めるスペースを作ってやることである。

麻酔深度が浅いと、患者がラリンジアル挿入を嫌がって、吐きだし気味になってうまく挿入できないことがある。これに対処するには、十分な麻酔深度にすることである。

私は、通常、フェンタニル50μg+プロポフォール100mgを基準量とし、これにN係数をかけて各患者の投与量としている。高齢者では、投与して2~3分後に、若年者では高濃度セボフルランでバッグマスク換気し、呼気セボフルラン濃度が2%以上になってから挿入を行っている。

挿入前に軽い力で下顎を尾側に移動させて開口できることが必要である。もしも、この時に抵抗が強いようなら、さらに麻酔深度を深くしてから試みることが勧められる。

【ラリンジアル挿入のポイント】
・頭部後屈
・下顎引上げ
・切腹スタイル
・十分な麻酔深度

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