肺癌の進行におけるμオピオイド受容体の新規な役割:実験的研究

The Novel Role of the Mu Opioid Receptor in Lung Cancer Progression: A Laboratory Investigation

Anesthesia & Analgesia vol. 112 no. 3 558-567

・μオピオイド作用薬が癌再発に影響しうるという可能性は、最近の関心事である。疫学研究では、乳癌と前立腺癌患者集団で、麻薬処方によって癌再発率に差があることを示唆した。本研究では、細胞と動物モデルでルイス肺癌(LLC)の腫瘍形成性をμオピオイド受容体(MOR)が制御していることに基づいて、これらの疫学的調査の知見を説明する可能なメカニズムを同定する。

・我々はヒト肺組織とヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞系列を使用して、免疫ブロットと免疫組織化学的分析法によりMOR発現を評価した。LLC細胞は末梢オピオイド拮抗薬methylnaltrexone(MNTX)またはMOR shRNAで処理され、試験管内での増殖、侵入と寒天コロニー形成を、VisEn蛍光断層イメージングと免疫組織化学的分析を使って、C57BL/6とMORノックアウト・マウスの原発腫瘍の成長と肺転移を評価した。

・MORは、死亡率が高く、治療選択肢が乏しい疾患である肺癌の標的である可能性があるという証拠をいくつか提供する。最初に、我々は、NSCLCの患者の肺組織と、いくつかのヒトNSCLC細胞系列で、MOR表出が5~10倍に増加していること見出した。MOR作動薬であるモルヒネと[d-Ala2、N-MePhe4、Gly-ol]-エンケファリン(DAMGO)は、試験管内のLLC細胞増殖を促した。MNTXによる処置またはMOR発現のサイレンシングは、LLC浸潤と、足場非依存性増を50%~80%抑制した。MORサイレンスのLLCを注射したところ、マウスの肺転移は65%減少した。加えて、LLCを注入したとき、野生型の対照と比較してMORノックアウトマウスは有意な腫瘍を発生しなった。最後に、末梢オピオイド拮抗薬MNTXの持続注入は、原発LLC腫瘍の成長を抑制し、肺転移を減少させる。

・総合的に考えると、我々のデータは肺癌進行に対して麻薬は直接的な影響をもつ可能性があることを示唆し、疫学的知見に対するもっともらしい説明を提供する。我々の観察は、更にオピオイド拮抗薬の治療的役割の可能性を示唆している。

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