全身麻酔時の回路ホルダー(いわゆる「鹿の角」)の代用

 ご存知かもしれないが、麻酔器の国内メーカーACOMA社が、全身麻酔器を購入した際に提供してくれる麻酔回路のホルダー、いわゆる「鹿の角」は、なんと1万円(以上?)するそうである。

 「別にないならないで構わない。」といえばそれまでだが、あればあったでそれなりに便利なものでもある。当院関連の大学病院の手術室では、全室「鹿の角」が当然のようにあって、その使用に慣れていると、『バイトで○○病院に来たら、「鹿の角」さえない!○○病院って貧乏なのか?』って思われているかもしれない。いや、何を隠そう、確かにそうなのだが・・・。

 しかし、わざわざ1万円も出して購入しなくてはいけないものでもない。そこで、以前から「何かうまく代用できるものがないかな~?」と考えていたのだが、たまたま見つけた「物」たちを組み合わせて、「鹿の角」の代用を考え付いた。

【材料】
1.ダストラック:スーパーの買い物袋をひっかけて、「簡易ゴミ捨て」にする太い針金製のアイデアグッズだ。
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2.ポールピンチ:洗濯物を竿にはさむためのピンチだ。
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【作製法】・・・と言う程の事ではないが

1.ダストラックの2本の四角い針金は、「知恵の輪」のように巧みに組み合わされていて、簡単には外れないようになっている。逆に一旦はずしてしまうと、元に戻すのもなかなか大変な代物だ。今回は、下図のような四角い針金の枠が必要なので、はずして使用する。
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2.ほぼ中央で、「く」の字に90度折り曲げる。大した力は要らない。
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3.2つのポールピンチを開いて、開口部の奥に存在する穴に針金の水平部がはまり込むようにして閉じる。
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以上で完成である。いや~簡単、簡単!

【使い方】
 鹿の角と同様に患者の枕の下に差し込み、回路をピンチで固定する。ピンチのΩ型の部分に回路の少し細くなった部分を手で押しつぶして通したり、ピンチを回路に斜めにかけてワイヤーと軽く固定したりする。回路をワイヤーの上で通すか、下で通すか、また縦のワイヤー部分に固定することにより高さをいろいろと調節することが可能である。

【ポイント】
 今回のポイントは、「ダストラックの長さと幅」といった大きさもさることながら、ポールピンチの形状も非常に都合良かった。
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【製作費】
 この2つの材料で、2つの「鹿の角」代用品が作成できるので、1個あたりの費用は100円である。さすがに「鹿の角」ほどの汎用性はないが、成人の仰臥位手術の8~9割はこれで十分だろう。

 コストは100分の1で、パーフォーマンスは80パーセント程度だ。あなたの病院でもいかがですか?

「うちは、そこまで貧乏じゃねーーーー!!」

 あ、そうですか。すみませんでした。

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  • 簡易な麻酔回路ホルダー

    Excerpt: 以前にも、同じようなアイデアを記事にしたことがある。 全身麻酔時の回路ホルダー(いわゆる「鹿の角」)の代用 そうか~、あれからもう 7 年も経つんだな~。 Weblog: 麻酔科勤務医のお勉強日記 racked: 2018-12-04 12:44