筋弛緩薬とARDS:汝、息すること、動くことなかれ、さもなくば死ぬ!

Neuromuscular blockers and ARDS:: Thou shalt not breathe, move, or die!

Critical Care 2011, 15:311 Published:2011-09-30
・ARDSで人工呼吸を受ける患者では、筋弛緩剤(NMBA)の使用は、酸素化を改善し人工呼吸器関連肺障害を減少する可能性があるが、筋力低下をきたす可能性もある。

・フランスの20の多専門領域集中治療室での、48時間以内に重症ARDSを発症した患者を対象とした多施設二重盲式無作為臨床試験である。重症ARDSは、PEEP5cm水柱以上、一回換気量が予測体重当たり6~8ml/kgで、動脈血酸素分圧/吸入酸素濃度<150と定義された。登録後、シスアトラクリウムベシル酸塩(n=178)か、偽薬(n=162)を投与されるよう、患者340人は無作為化された。全患者は、処置前にスフェンタニルとミダゾラムを用いてラムゼー鎮静スコア6に鎮静した。その後、15mgシスアトラクリウムベシル酸塩または偽薬を投与した。そして、48時間にわたり37.5mg/時間の持続点滴を続けた。患者は、筋弛緩の程度をモニタされなかった。主要転帰は、Coxモデルを使って規定の共変量と前値の群間差で補正した、退院前、または研究登録後90日以内に死亡した患者の割合(すなわち、90日院内死亡率)であった。

・粗90日死亡率は、シスアトラクリウム群で31.6%(95%信頼区間[CI]、25.2~38.8)、プラセボ群で40.7%(95%CI、33.5~48.4)であった(P=0.08)。PaO2:FIO2比の前値、ブラトー圧、SAPSⅡで調整後、シスアトラクリウム群の90日死亡のハザード比は、プラセボ群と比較して、0.68であった(95%CI、0.48~0.98; p=0.04)。28日死亡率は、シスアトラクリウムで23.7%(95%CI、18.1~30.5)、プラセボで33.3%(95%CI、26.5~40.9)であった(P=0.05)。ICU獲得不全麻痺の率は、2群間で有意差はなかった。

・重症ARDS患者では、筋弛緩剤の早期投与は、補正90日生存率を改善して、筋力低下を増加させることなく、人工呼吸を離脱した時間を増加させた。

[!]:もともとの論文は、「Neuromuscular Blockers in Early Acute Respiratory Distress Syndrome(ARDS早期の筋弛緩薬)」(N Engl J Med 2010; 363 : 1107 - 16)

ARDSが最もシビアな時期には短期的に筋弛緩薬を使用することで、あとあとの筋力低下を招くことなく、人工呼吸により酸素化を改善して転帰向上に役立つと言うことだな。

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