電子麻酔記録導入奮闘記 その34(ファイナル)

 2009年7月に思い立ってから、実際に paperChart の運用にこぎつけるまでの、約3ヶ月間の日々の電子麻酔記録 paperChart 導入の取り組みを、経時的に日記形式でつづってきた。

 単に、PCに paperChart をインストールして、PC本体と心電図モニターを、専用ケーブル+RS232C-USB変換ケーブルでつないでバイタルサインを記録するだけなら非常に簡単にできる。

 これは、paperChart が非常に安定したソフトウェアであり、そういった手順もマニュアルに詳細に記されているし、作者の越川先生のご苦労のおかげであると思う。

 しかし、実際の日常臨床に使いやすい形で導入するには、いろいろと工夫した点があったのも事実である。特に、paperChart への予定表データの取り込み部分と、電子カルテシステムへのPDFファイル形式での出力部分には苦労した。

 ちょうど、麻酔の維持期は比較的安定しているが、麻酔の導入と覚醒時にいろいろとトラブルが発生し易く、飛行機の離着陸に例えられるのに似ている。

 この「電子麻酔記録導入奮闘記」の最後に、そういった点をまとめてみる。今後、paperChart を導入しようと考えておられる方々、現在導入中の施設で同様の問題に直面している場合には、何かしら参考になる点があるかもしれない。

【電子麻酔記録導入に当たって工夫した点】

1.手術予定参照上の問題

 膨大な予約情報データの中から、電子麻酔記録に必要なデータだけを抽出して、データ形式を修正する必要があったので、awkスクリプトを使用して解決した。「GNU-awk」はフリーソフト。

電子麻酔記録導入奮闘記 その4
電子麻酔記録導入奮闘記 その9
電子麻酔記録導入奮闘記 その14

2.ノートPCの種類と設置法

 できるだけ省スペースにするために、12インチのネットブックを選択した。また、出費がかさまないように、安価なディスプレイ・アームを流用し、ホームセンターとダイソーに何度も足を運んで部材を見つけて、回転式で、安定した固定ができるようにした。

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3.PDF化するソフト

 paperChartは、本家Acrobatを推奨しているが、1ライセンス3万円(PCが1台買えてしまう)もするが、フリーソフト「PrimoPDF」を使用することで無料で可能とした。

電子麻酔記録導入奮闘記 その10
電子麻酔記録導入奮闘記 その11

4.印刷とPDFファイル出力の2度手間の問題

 PrimoPDF のポスト・アクション、AcrobatReader の起動オプションを記したバッチ・スクリプトを併用することで、少ない手順で同時出力が可能となった。

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5.PDFファイル名の問題

 paperChart の書き出したPDFファイル名では、直接には電子カルテに取り込めなかったので、バッチ・スクリプトで取り込み可能なファイル名にリネームすることで転送可能となった。また、これも PrimoPDF のポスト・アクション のおかげだ。

電子麻酔記録導入奮闘記 その27
電子麻酔記録導入奮闘記 その28

6.ネットワークの広さの問題

 無線LANで接続された paperChart 用PCでは「電子カルテへのPDF取り込み用所定フォルダ」に直接書き込みできないため、別のPCで「フォルダ監視」というフリーソフトを使用して、転送用のバッチ・スクリプトを起動することで解決できた。この問題は、当院特有の問題だった可能性が高いので、今回の「奮闘記」では触れなかった。

7.開心術時の問題その1:「paperChart と 人工心肺記録 の同時記録」

 paperChart と「人工心肺記録」(これもPCで記録)は、RS232C の2分配器を使うことで同時に記録することが可能となった。

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電子麻酔記録導入奮闘記 その26
電子麻酔記録導入奮闘記 その29

8.開心術時の問題その2:「通常の paperChart では薬剤欄が不足する」

 薬剤数・ルート数ガ多すぎる場合に記載できないのは、paperChart の限界かと思われたが、何とかカスタマイズと、心外専用 paperChart を用意することで解決できた。

電子麻酔記録導入奮闘記 その33


【手術室6ベッドに電子麻酔記録導入に要した費用】

1.ノートパソコン=24万円
2.日本光電製専用ケーブル=8万円
3.無線LANアダプター=8万円
4.RS232C分配器=2万円
5.変換ケーブル=1.5万円
6.その他モニター・アームなどもろもろ=6.5万

総額は、当初の予定通り約50万円であった。


● 教訓:部品の調達・購入だけでは解決できない問題がたくさんある。逆に、工夫することで解決できることが本当にたくさんある!

● 愚痴:いくら苦労して仕事をしても、誰からも感謝されないし、ねぎらいもないというのはつらいものだ。しかし、多くの問題を自力で解決できた達成感は他の何物にも変えられないし、自信にもつながった。自分の人生に何らかの役に立つだろうことだけは確信している。

 以上、長々と記したが、この「電子麻酔記録導入奮闘記」が、これから paperChart を導入しようとする方々に、少しでも参考になる点があれば幸いである。

by SRHAD-KNIGHT

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