ビーチチェア位での脳酸素飽和度の低下

Cerebral oxygen desaturation during beach chair position
European Journal of Anaesthesiology: February 2012 - Volume 29 - Issue 2 - p 82-87

・ビーチチェア位での肩の手術を受ける比較的健康な患者で、虚血性脳障害の症例が報告されてきた。未診断の脳灌流低下がこれらの悲惨な事象の要因となっている可能性があり、ルーチンの麻酔モニターでは十分ではない可能性が示唆される。近赤外線分光光度計(NIRS)は、非侵襲的に、局所脳酸素飽和度(rScO2)を持続的に測定することが可能である。本臨床研究の目的は、ルーチンの麻酔管理中に上体挙上位で肩の手術を受ける患者において局所脳組織酸素飽和度低下の頻度を評価することであった。また脳酸素飽和度低下のいくつかの原因となる要素を特定することも目的とした。

・2008年 5月19日~2008年8月26日まで、大学病院で、ビーチチェア位で全身麻酔下に待機的肩手術を受ける一連の成人患者 20 人を対象とした前向き観察盲式研究である。臨床的に明らかな神経学的、あるいは認知機能障害がある患者は除外した。ルーチンの麻酔管理と標準的モニタリングが使用された。担当麻酔科医には、 rScO2 データを伏せ、研究目的についても知らせなかった。主要転帰項目として、脳酸素飽和度低下の頻度を測定した。

・ビーチチェア位にすると、rScO2は、左側で 79±9 から 57±9% と、右側では、77±10 から 59±10% へと有意に減少した(P<0.001)。ビーチチェア位を取った時、患者の 80% で rScO2 の 20% 以上の相対的低下が発生した。体位による脳酸素飽和度の低下は、血圧(r=0.60, P=0.007)と呼気終末二酸化炭素濃度(r=0.47, P=0.035)と関係していた。

・上体挙上位での肩手術中の脳酸素飽和度の有意な低下は頻繁に発生しており、密なモニタリングの必要性を明確にしている。このような高リスクの患者群では、NIRS が脳酸素飽和度低下を検知する方法として有用であるかもしれない。

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  • ビーチチェア体位での肩手術中の脳酸素飽和度低下事象の危険因子

    Excerpt: ・本研究の目的は 2 つであった:(1)患者のリスク層別化、正常血圧を維持する麻酔、段階的な患者の体位取り、からなる包括的な手術麻酔プロトコール実施後の脳酸素飽和度低下事象(CDE)の危険因子を調査す.. Weblog: 麻酔科勤務医のお勉強日記 racked: 2019-02-14 08:31