BIS を指針とした麻酔は術後せん妄と認知機能低下を減少させる

BIS-guided Anesthesia Decreases Postoperative Delirium and Cognitive Decline
Journal of Neurosurgical Anesthesiology: January 2013 - Volume 25 - Issue 1 - p 33–42 doi: 10.1097/ANA.0b013e3182712fba

・これまでの臨床試験と動物実験では全身麻酔薬の長期にわたる神経毒性が術後認知機能障害(POCD)につながるかもしれないことが示唆されてきた。BIS のような脳機能モニタリングは、麻酔深度の調節を容易にして、麻酔薬への暴露を低減させることが示されてきた。本研究では、無作為対照試験で、BIS モニタリングが POCD に及ぼす効果を大きな非心臓手術を受ける 921人の高齢患者で検証した。

・患者は、BIS を指針とした麻酔診療か、通常の麻酔診療を受けるよう無作為割付けされた。BIS 群では、麻酔維持中、BIS 値が 40 ~ 60 となるように調整した麻酔を受けた。通常麻酔診療群は、BIS を測定されたが、担当麻酔科医には知らされなかった。麻酔は、伝統的な臨床徴候と循環動態パラメータによって調節された。神経心理学的検査一式を、術前と術後 1 週間、3 ヵ月に実施した。結果を、同期間中に手術を受けなかった相応した対照患者と比較した。せん妄は、混乱評価法の基準を使って測定された。

・麻酔維持中の BIS 値の中央値(四分位領域)は、BIS 指針群の 53(48~57)に比較して、対照群 36(31~49)で、有意に低かった(P<0.001)。BIS 指針麻酔は、プロポフォール注入量を 21%、揮発性麻酔薬の使用量を 30% 減らした。BIS 群では、通常診療群に比べてせん妄患者数が少なかった(15.6% vs 24.1%、P=0.01)。術後 1 週間の時点での認知能の成績は群間で同様であったが、BIS 群では、通常診療群と比較して 3 ヵ月後の POCD の発生率が低かった(10.2% vs 14.7%; 補正オッズ比 0.67; 95%信頼区間、0.32-0.98; P=0.025)。

・BIS を指針とした麻酔は麻酔薬への暴露を低減して、術後 3ヵ月の時点での POCD の危険性を減少させた。大手術を受ける高齢者 1000 人当たり、BIS が 40 ~ 60 の範囲に調整して麻酔薬を投与すれば、23 人の患者が POCD に、83 人の患者をせん妄となるのを防げるだろう。

[!]:過剰な麻酔薬への暴露が、術後のせん妄や長期的な認知機能障害の原因となることが示された。これは、麻酔科医にとっては、非常に注目するべき研究成果である、極力中枢神経系抑制薬の使用量を少なくすることが肝要だ。

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