ビーチチェア体位での脳酸素化: 全身麻酔 vs 区域麻酔が及ぼす効果に対する前向き研究

Cerebral oxygenation in the beach chair position: a prospective study on the effect of general anesthesia compared with regional anesthesia and sedation
Journal of Shoulder and Elbow Surgery. published online 08 April 2013.

・ビーチチェア体位で肩の手術を受けた患者で、脳梗塞や難聴といった悲惨な神経虚血性症状が発生してきた。本研究では、手術がビーチチェア体位で実施される場合、覚醒下の患者の方が麻酔下患者と比較して、有意な脳酸素飽和度低下事象(CDE)を避けることができると仮定した。

・60 人の患者が、ビーチチェア体位で待機的肩手術を受けた。30人の患者は斜角筋間ブロックを受けて、鎮静状態をモニターした(覚醒下群); 30 人の患者は、全身麻酔を受けた(睡眠群)。術中に脳酸素飽和度(Scto2) を測定した。臨界閾値以下の Scto2 値を、CDE と定義して治療された。

・ベースラインの平均血圧と Scto2 値は、術中、睡眠群の方が低かった(p<0.0001)。睡眠群の方が CDE の発生頻度が高く(56.7% vs 0% 覚醒下群)、1 患者当たりの CDE が多かった(睡眠群 2.97 vs 覚醒下群 0、 p<0.0001)。閾値 55% 以下のScto2 は、睡眠群では 23.3% で見られたのに対して、覚醒下群では 3.3% であった。睡眠群では合計 89 件の複合酸素飽和度低下事例が記録されたのに対し、覚醒下群では 1 件であった(p<0.0001)。

・区域麻酔と鎮静治療を受けたビーチチェア体位の患者は、全身麻酔下の患者と違って、脳酸素飽和度低下事例がほとんどなかった。ビーチチェア体位での全身麻酔を回避すれば、虚血性神経傷害の危険性を減少させる可能性がある。

[!]:なるほど、内在する脳血流維持メカニズムを活用するという、こんなに簡単な方法があったんだな。全身麻酔の副作用の 1 つとは、まさにこの基本的な神経系へ血流を維持しようとするメカニズムを破綻させてしまいかねないことだ。

<関連記事>

1.全身麻酔前と中のビーチチェア位での脳酸素化

2.ビーチチェア位での脳酸素飽和度の低下

3.ビーチチェア体位と側臥位での肩関節形成術中の近赤外線で評価した脳酸素飽和度低下の事象

4.全身麻酔下のビーチチェア体位での関節鏡下肩関節手術中の血行動態と脳酸素化

5.坐位で関節鏡下肩手術を受ける患者の脳酸素化モニタリング


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック