【投】 術前ヘマトクリット値は CABG 術後の有害事象の強力な予測因子である

Preoperative Hematocrit Is a Powerful Predictor of Adverse Outcomes in Coronary Artery Bypass Graft Surgery: A Report From The Society of Thoracic Surgeons Adult Cardiac Surgery Database
The Annals of Thoracic Surgery Volume 96, Issue 5 , Pages 1628-1634, November 2013
Williams ML, et al.

【背景】
 小規模の研究で術前のヘマトクリット (Hct) と CABG後の予後の関係が認められている.胸部外科学会の成人心臓手術データベース (STS ACSD) では2008年から術前の Hct データを収集し始めた.この研究では術前の Hct 値が CABG を受けた患者の周術期合併症発生率と死亡率に及ぼす影響が調査された.

【方法】
 2008-2009年に単独初回 on-pump CABG を受けた STS ACSD の182,599名の患者からデータが収集された.データは対象期間中年間100例以上の on-pump CABG を行なっている施設からのみ収集された.透析患者や心血管系手術の経験患者,Hctデータが欠損している患者は除外された.2008 STS CABGリスクモデルを用いて Hct を予測因子として含む多変量解析が行なわれた.手術死亡率やその他の合併症発生率を調べるためロジスティック回帰分析が行なわれた.

【結果】
 全手術死亡率は1.6% (3,005/182,599)だった.貧血患者 (Hct<33%)と比べ,Hct≥42%の患者は死亡率が低く (1.1% vs 3.4%; p < 0.0001),腎不全が少なく (2.0% vs 7.8%; p < 0.0001),脳卒中が少なく (0.9% vs 1.8%; p < 0.0001),長期人工呼吸が少なく (8.4% vs 17.5%; p<0.0001),胸骨深部創感染が少なかった (0.3% vs 0.6%; p < 0.0001).調整された解析では,術前 Hct の5ポイントの減少で,死亡のオッズは8%上昇 (odds ratio, 1.08; p = 0.0003),術後腎不全オッズは22%上昇 (odds ratio, 1.22; p < 0.0001),深部創感染のリスクは10%上昇 (odds ratio, 1.10; p < 0.01)した.同様の結果は待機的 CABG を受けた患者 (n = 74,2929)でも見られた.周術期に輸血を受けた比率は貧血群 (Hct <33%) の88.5%に対し,Hct ≥42%群では32.5%と減少した (p < 0.0001).

【結語】
 術前 Hct は単独初回 CABG を受ける患者において,周術期死亡率,腎不全,深部創感染の強力な独立予測因子である.これらの結果から術前の Hct を増加させる戦略を促進することが求められる.

<投稿者名>
TEE Fan

<投稿者コメント>
CABG 術前リスク評価には術前ヘマトクリット値が必要 (STS リスクモデルにはまだ含まれていない).前向き研究によるさらなる評価が必要.
*stroke は脳出血を含むか否か不明なので,一応「脳卒中」としました


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