Q:カフ圧の最適値とは? それは何で決まっているのか?

カフ圧計.pngA:はじめて気管挿管を見学した学生やナースから、「気管チューブのカフにはエアをいくら注入すればいいんですか?」とよく聞かれる。

『気管チューブのカフにどれくらいのエアを注入すればよいかは、「量」では決まらない、「圧」で決まるんだ。』と話している。

尿道に挿入する導尿カテーテルからの連想からくるのだろう。導尿カテーテルの場合、一般的には、バルーンに蒸留水 10ml を注入する。これは、膀胱内でバルーンを膨らませて、抜けないようにすることが目的であるので、尿道径よりも十分大きくバルーンを膨張させれば、目的を達成することができる。「圧」は関係なく、「量」(膨らんだバルーンの大きさ)で決まる。

ところが、気管チューブのカフの場合、抜けないように固定することが目的ではない。固定は気管チューブにテーピングすることで行う。

気管チューブのカフの役割は、人工呼吸した際のリークを防ぐ目的と、口腔内分泌物や吐物などが気管内に垂れ込まないようにする嚥防止の目的誤がある。つまり、気管と食道を分離することが目的である。

正常状態(気管挿管されていない状態)では、この機能は声門と喉頭蓋によって行われている。しかし、気管挿管された状態では、チューブが声門を通過することによって、この声門と喉頭蓋の機能が障害されており、肺内のガスがリークして十分に肺内圧を上昇させることができず、また口腔内の分泌物や吐物が、気管の中に流れ込むことが起こりうる。

口腔内分泌物が気管内に垂れもうとする圧はほとんど 0 に近いので、通常は人工呼吸時の最高気道内圧よりも高くカフ圧を設定すれば、リークなく人工呼吸が可能で、かつ誤嚥をきたすこともあまりない。正常な肺の場合には、人工呼吸した時の気道内圧は通常 10~15 cmH2O である。

しかし、あまり圧が高すぎると膨張したカフが気管粘膜を強く圧迫して、粘膜の血流障害をきたす危険性が高まる。気管粘膜の毛細血管血圧は、気管壁の毛細血管圧 20mmHg~25mmHg(27~34 cmH2O)とされている。

最適なカフ注入量は、この 2 つの圧に依存して決まってくる

『人工呼吸時の最高気道内圧<カフ圧<気管粘膜毛細管血圧の最低値』

となるようなエア量をカフに注入してやればよいことになる。
通常は、バッグで加圧して、気道内圧を 20~25 cmH2O に上げたときに、「リークがない最低量」が推奨されている。
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ちなみに、RUSCH製「エンドテスト」という気管内チューブカフインフレータの添付書には、以下のように記載されいている。

「カフは、気管毛細血管の内圧を超えないように適正な圧に管理すること。または臨床の状況により、気管をシールできる最小限の空気注入量により管理すること[カフへの過剰な空気注入はカフ破損や気管損傷・壊死の原因になるため]。カフ圧は、定期的に適正な圧(一般的な目安範囲としては27~33hPa(cmH2O)、20~25mmHg(文献値、主要文献参照))を維持すること。適正な圧は患者の容態に合わせて設定すること。」
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COVIDIEN製「ハイ・ロー・ハンドカフ圧ゲージⅡ」の添付書

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