Q:小児ではカフなしチューブを使用しているがそれはなぜか?

A:気管チューブは、構造的にある程度の肉厚を必要とする。気管チューブは気道を確保するための器具であるから、圧迫が加わった時に容易に屈曲して閉塞してしまっては元も子もない。

屈曲力に抵抗できる十分なチューブの肉厚を確保しようとすると、外径には限界があるから必然的に換気に必要な内径を細くせざるを得ない。

成人用チューブの場合は、ある程度の肉厚があっても、換気に必要な十分な内径が確保できる。ところが、小児用の気管チューブとなると、換気に必要十分な内径を確保するためには、チューブの外径を太くせざるを得ない。

カフありチューブは、チューブの周囲にカフがあるために、カフなしチューブよりも相対的に細い外径(したがって、内径も細い)のチューブしか挿入できない。カフありチューブは、カフなしチューブに比べて、換気に十分な内径を確保しにくいというデメリットのために、通常 8~10 歳以下の小児では、カフなしのチューブが使用されてきた。

もう一つの別の理由は、成人の場合、解剖学的に気道のもっとも狭い部分は声門であるが、小児では声門でなく、その下の声門下であり、ちょうど気管チューブのカフが膨らんで気管粘膜を圧迫しやすい部分でもある。(最近の研究では、必ずしもそうではないという結果も出されているが・・・)

小児にカフありチューブを使用すると、抜管後に声門下の浮腫をきたして呼吸困難から呼吸停止をきたすことがあるという懸念から、カフなしチューブが一般的となったとされる。

しかし、近年になって、肉薄であっても屈曲力に抵抗して容易には閉塞に至らないチューブが開発されてきたこともあるのだろう。カフありチューブでも術後の合併症は多くないし、室内の麻酔ガス汚染や誤嚥の点から、カフ有りのチューブのメリットが認識され、推奨され始めている。

ただ、日本国内ではまだ臨床使用に適当なチューブが入手できないために、一般化していないようだ。

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