Q:ラリンジアルマスク・エアウェイの利点は?

A:一言で言えば、「低侵襲」ということだろう。しかし、どういう点で低侵襲なのだろうか。また、それ以外にもいろいろと利点がある。気管チューブと比較しながら、もう少しじっくり考えてみよう。
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図は、1988 年に臨床使用されるようになった第 1 世代のシリコン製マスクを持つ量産型タイプである。

まず、気管挿管時には通常、筋弛緩薬を併用しているが、ラリンジアル挿入時には筋弛緩薬が必要ない。ということは、自発呼吸を容易に温存できるということだ。自発呼吸が温存できるということは、人工呼吸する必要がないということでもある。

また、手術自体が必ずしも筋弛緩剤投与を必要としないのならば、手術中にまったく筋弛緩剤を使用しなくてもすむ。ということは、筋弛緩の程度をモニタリングする必要もないし、拮抗するべきか、せざるべきか、拮抗薬投与について考慮する必要がないということだ。

さらに、自発呼吸を温存した場合には、自発呼吸数を指標とした適切な量の鎮痛薬投与の調節が可能となる。気管挿管して人工呼吸をしてしまうと、「自発呼吸数」という、血圧や心拍数といった交感神経刺激症状よりも反応速度の速い鎮痛度モニターを失ってしまうことになる。

ラリンジアルマスクを挿入して、自発呼吸を温存することにより、呼吸数という鎮痛度モニターを利用できる利点がある

気管チューブの場合、挿入に際して、何かしらの挿管補助用具が必要である。これに対して、ラリンジアルの場合には、補助用具は必要ない。必要なのは術者の手と技量だけである。

気管挿管に際して、通常の直接喉頭鏡を使用すれば、大きく最大開口位まで開口させる必要があり、これは顎関節にとっては大きな負担となる。また、舌根部分を喉頭鏡ブレードの先端で強く圧迫し、交感神経と副交感神経を共に緊張させる。また、気管内に異物が挿入されることによっても反射性に交感神経が緊張する。これは、時として高血圧と頻脈を惹起し、循環系に大きな負担がかかる。

これに対し、ラリンジアルの場合は、最大開口位まで開口させる必要はなく、舌根部を多少は刺激することはあっても、直接喉頭鏡の圧迫の比ではなかろう。挿入時の交感神経刺激症状は、気管チューブに比べれば格段に少なくて済むことから、循環系への負担も少ない

気管チューブは、声門を通して挿入するので声帯を圧迫して、術後に嗄声をきたす可能性がある。また気管まで挿入したチューブは、気管粘膜を傷つける可能性があり、当然気管粘膜の線毛運動をも障害する。

ラリンジアルは声門を通過させないので、声帯に障害を与えて嗄声をきたす危険性がない。さらに気管内には何も入れないので、気管粘膜を傷つける恐れがない。気管粘膜の繊毛運動にもほとんど影響を与えないので、分泌物の口腔側への移動を障害することもない。

気管チューブの抜去前には、必ず気管内吸引と口腔内吸引が必要だが、ラリンジアルの場合は、口腔内吸引さえほとんど必要ない

以上のように、ラリンジアルを挿入する際には、気管挿管時に比べて、喉頭鏡を使う必要がないことと、気管にまで異物を挿入しないことから、気道系と循環系に与える影響の少ない非侵襲的な気道確保法と言える。

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