フェンタニルによるプロポフォールの CP50 の低下とさまざまな侵害刺激に対する血行動態反応

Reduction by Fentanyl of the Cp50 Values of Propofol and Hemodynamic Responses to Various Noxious Stimuli
Anesthesiology: August 1997 - Volume 87 - Issue 2 - p 213-227 Clinical Investigations

・満足の行く麻酔や手術条件を維持するためには、プロポフォールとフェンタニル注入速度は、刺激に対する患者の反応に応じて変更する必要がある。しかし、プロポフォールとフェンタニルによる静脈麻酔に際しては、様々な侵害刺激に対する体性および自律神経性の応答は、系統的には調査されたことがない。

・プロポフォールとフェンタニルは、安定した濃度を提供し、血漿-血液と効果部位濃度間を平衡状態にするために、コンピュータ支援持続注入を介して投与された。口頭による命令に対する開眼、50 Hz 電気テタヌス刺激後の運動反応、喉頭展開、気管挿管、皮膚切開後の運動反応を 50% か、あるいは 95% の患者で抑制するのに必要なプロポフォール濃度(Cp50 と Cp95)を、下腹部手術を受ける 133 人の患者で、フェンタニル濃度 0.0、1.0、2.0、3.0、4.0 ng/ml の場合に測定した。種々の侵害刺激に反応する循環動態反応を抑制する、フェンタニルとプロポフォールの能力もまた、刺激前後の動脈圧と心拍数を測定することにより評価した。

・プロポフォール単独(フェンタニルなし)の場合のさまざまな Cp50 値は、以下の順に増加した: 意識消失の Cp50=4.4μg/ml(範囲;3.8-5.0)、テタヌスの Cp50=9.3μg/ml(範囲;8.3-10.4);喉頭展開の Cp50=9.8μg/ml(範囲、8.9-10.8)、皮膚切開の Cp50=10.0μg/ml (範囲、8.1-12.2)、気管挿管の Cp50=17.4μg/ml(範囲、15.1-20.1、95%信頼区間)。フェンタニルによる意識消失の Cp50 の減少は、最小であった。フェンタニル濃度 1ng/ml で 11%、3ng/ml で 17%であった。血漿フェンタニル濃度 1 ng/ml(3 ng/ml)、テタヌス刺激、喉頭展開、気管挿管、皮膚切開に際してのプロポフォールの Cp50 を 31-34 %(50-55ま%)減少させた。プロポフォール単独では、刺激前の血圧を抑制するが、刺激に対して増加する血圧や心拍数の程度にはなんら影響を及ぼさなかった。フェンタニルを併用したプロポフォールは、様々な侵害刺激に対する収縮期血圧の増加を、用量依存性に軽減した。

・著者らは、様々な刺激に際して必要なプロポフォール濃度を明らかにすることに成功した。気管挿管は、最も強力な刺激だった。プロポフォールを投与して体性反応がないことは、フェンタニルなくしては血行動態の安定性を保証するものではない。フェンタニルを併用したプロポフォールは、様々な侵害刺激に対する運動と血行動態反応を抑制することができた。

[!]:直前のブログ記事「Q:麻酔導入に必要なプロポフォール用量とフェンタニルの関係は?」で参照した 17 年も前の Anesthesiology に掲載された論文抄録だ。これは現在の臨床にも直結する非常に価値のある論文だ。重要なものなので日本語訳しておいた。

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