Q:筋弛緩モニターが使用できない時の、アバウトな筋弛緩度の評価法とは?

A:スガマデクスが市場に出るずっと以前から、筋弛緩モニターの使用は推奨されていたが、現実には、市中病院での臨床への導入はあまり進んでいなかった。

スガマデクスが臨床に導入され、その添付書に拮抗薬投与のタイミングとして、用法・用量の項に「浅い筋弛緩状態(筋弛緩モニターにおいて四連(TOF)刺激による 2 回目の収縮反応(T2)の再出現を確認した後)では 1 回 2mg/kg」と明記されたことから、臨床への「TOF ウォッチ」などの筋弛緩モニターの導入はずいぶんと進んだはずである。

とはいえ、麻酔関連機器が完備された大病院でない場合には、いつもいつも筋弛緩モニターが使用できるとは限らないのではないだろうか。バイトで訪れた中規模病院や小さな整形外科病院・・・。また、「短時間の手術のために、いちいち筋弛緩モニターを付けるのは面倒だ。」と思うこともあるだろう。

筋弛緩薬を拮抗するタイミングは、私が研修医になった頃は、「自発呼吸が出現してから。」と教わった。しかし、これって何を自発呼吸というのか? どれくらいの量の自発呼吸が出ていれば、自発呼吸が出ていると判断してよいのだろうか? いつも悩んだものだった。

一番、安全なのは、その患者さんの安静時の正常な一回換気量(つまり、生理学的には 7ml/kg 程度)が既に出現している場合である。たとえ、拮抗薬が効かなかったり、拮抗の効果が消失してしまっても、それ以上に有効肺胞換気量が低下することはないだろうから。

しかし、実際問題として、そのような自発呼吸が出現するまで筋弛緩剤の効果が消失するのを待っていたら、当然のことながらかなりの時間を浪費してしまい、患者さんの退室は遅くなってしまうだろう。

そこで、私が自分なりに考えた拮抗のタイミングは、少なくとも死腔量(生理学的には 2ml/kg)、通常の体格の成人で 100~150ml 以上の自発呼吸が出現していれば、拮抗可能と判断していた。つまり、「自発一回換気量≧死腔量」なので、拮抗する前でさえ、多少の有効肺胞換気が存在するということだ。

拮抗剤を投与するのだから、有効肺胞換気量はそれよりも当然増えるわけで、もしも時間が経過して、拮抗剤の効果が切れてしまったとしても、その経過時間中に筋弛緩薬はさらに代謝されて、その効果は少なくなっているはずで、呼吸停止という事態には陥らないはずである。

経験的には、これよりも少ない一回換気量しか出ていない状況で拮抗剤を投与した場合には、抜管後に患者さんが呼吸困難を訴える頻度が多かった。したがって、自発呼吸下で、一回換気量 2mL/kg 以上の換気量がある場合を TOF カウント T2 に相当していると考えている。

また、自発呼吸が出現しない場合や、気管内吸引を行っても、まったく咳反射を誘発できない場合は、TOF カウント=0 以下と判断する。これらの場合には、拮抗を行うべきではない。ひょっとすると PTC でさえ、=0 かもしれないからだ。

軽い咳反射があって「エホッ」と 1 回反応があれば、TOF カウント=1、「エホッ、エホッ・・・」と 2 回以上の連続した咳反射が誘発できれば、TOF カウント=2 相当と考えて、スガマデクスの浅い筋弛緩の拮抗可能なレベルと判断している。

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