Q:硬膜外麻酔にはどれくらいの薬液が必要か?

A:硬膜外麻酔に使用する薬剤の必要量を決定する大きな因子は、
(1)皮膚分節でどれくらいの範囲を効かせたいか
(2)患者さんの年齢
によって決まってくる。

硬膜外穿刺をどれくらい適切なレベルで行ったかによっても、必要量は変わってくるが、一応、適切なレベルで穿刺が行われたと仮定しよう。

非常に大雑把にいうと、標準的な 50~60 歳の成人で、1 皮膚分節の麻酔に必要な 2% キシロカインは 1mL とされている。これよりも若い年齢では必要量が多くなり、より高齢者では少なくなる。

硬膜外に投与する局所麻酔薬の必要量は、年齢が上がるにつれて、ほぼ直線的に減少していく。この現象は、45 年も前の論文に報告されている。
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AGEING AND EPIDURAL DOSE REQUIREMENTS: Segmental spread and predictability of epidural analgesia in youth and extreme age Br. J. Anaesth. (1969) 41 (12): 1016-1022

そして、この減少度は、「Q:麻酔導入に必要なプロポフォール必要量と年齢の関係は?」で解説した、プロポフォールの必要量の年齢依存性とほぼ同じである。
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したがって、プロポフォールの場合と同様に、「N 係数」、あるいは、「KNIGHT 式年齢補正係数」を使用して、必要量を推定することが可能である。

例えば、50 歳の成人で、5 分節を効かせるのに必要な 2% キシロカインを 5mL とすれば、70 歳の成人では、(体重は同じとすれば)

(1)N 係数 の場合
 5×50/70=3.6mL

(2)KNIGHT 式年齢補正係数 の場合
 5×(150-70)/100=4mL

区域麻酔に必要な局所麻酔薬の必要量も、就眠させるのに必要なプロポフォールの用量も、まったく同様に、年齢依存性に低下する。

麻酔がターゲットにしているのは、神経細胞であり、細胞がたくさん集まって組織を形成し、さらに特定の機能を有する神経系を構築している。その神経系が「意識」というものを生み出しているのだということを考えると、当たり前のことだと言わざるを得ない。

しかし、硬膜外麻酔に必要な薬液量の年齢依存性は 45 年も前に明らかにされていたのに、全身麻酔の導入に必要な薬液量の年齢依存性が明らかとなったのは、それよりも 30 年も後のことだったというのは驚きだ。

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