Q:抜管前の気管内吸引、口腔内吸引を行う際に注意すべき点とは?

A:抜管前の気管内吸引、口腔内吸引を行う必要性については、「Q:抜管前後の気管内・口腔内の吸引の順番は? 加圧抜管とは?その意味することろは?」で述べたが、実際にこの手技を行う際に、注意するべき点がいくつかある。

(1)気管チューブ内吸引であってはならない
1つは、気管内吸引を行う場合、気管壁を刺激するくらいに十分に吸引チューブを挿入しなくてはならないということ。「気管チューブ内吸引」であってはいけない。気管チューブ内に気管分泌物が存在する可能性はほとんどない。必要なのは、気管内に貯留した分泌物の除去である。

気管壁を吸引チューブの先端で刺激することで、咳反射を誘発して、気管チューブ留置部以下に存在するする分泌物(痰)を近位側に移動させて、それを吸引除去することが本来の目的である。

また、副次目的は、患者さんがどれくらい力強く、異物である吸引チューブを排除しようとする力を発揮できるかを確認することである。もしも、気管内吸引を行ったにもかかわらず、力強い咳反射が誘発できなければ、抜管後に誤嚥が生じた際にも、十分な力で異物を排除できないことの証明でもある。

気管内吸引で、力強い咳反射が誘発できない場合には、筋弛緩の拮抗がまだ十分ではないか、オピオイドの反射抑制作用がまだ強く残存していると想定しなくてはならない。

したがって、この場合には、筋弛緩の拮抗が十分であるか、気道反射が十分に回復するくらいにオピオイドの効果が低下しているかを確認してから抜管するべきであり、抜管後の誤嚥に十分な注意が必要である。

(2)気管内吸引後は必ず肺を加圧して膨張させること
次に、気管内吸引と言う操作は、肺内に存在するガスを相当な吸引力で排出させることになので、「人為的無気肺作成術」とも言える行為であることを認識するべきである。

気管内吸引を行った後は、必ず、ポップオフバルブをクローズ(閉)にして、麻酔バッグをやや強く加圧して、肺を膨張させてやることが必要である。呼吸筋力が十分にある健康な若い患者さんでは、少々の無気肺は自力で解除できる可能性があるが、スモーカーで分泌物が多い症例や、十分な呼吸予備力のない高齢者では一旦発生した無気肺を自力で解除するのは困難である。

(3)口腔内吸引を行う場合は、必ず咽頭に異物がないことを確認すること
また、口腔内分泌物を除去する際には、バイトブロックの穴から吸引チューブを挿入して盲目的に分泌物を除去するだけでは、不十分である。

バイトブロックを固定しているテーピングを外して、気管挿管を行う時ほどに喉頭展開を行う必要はないが、咽頭後壁が視認できるくらいに直接喉頭鏡を口腔内に挿入して、咽頭に異物が残存していないかどうかは確認しなくてはならない。また、吸引チューブで咽頭を刺激して、嚥下運動の存在や咽頭反射の存在を確認することも必要である。

口腔に関連した手術でない限り、口腔内に異物が存在する可能性は少ないかもしれないが、自己体験の話をすれば、抜管前の口腔内吸引で、口腔内に脱落した歯牙を発見したことがある。気管挿管時には気付かななった脱落歯牙である。

表面的には、同じ行為をしているようでも、上記のような点について十分な配慮ができるかどうかが最終的な麻酔のアウトカムを左右することもある。

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