Q:小児に使用する気管チューブのサイズと固定の深さはどう決めるか?

A:教科書的には、気管チューブのサイズは、「4+年齢÷4」、固定の深さは「12+年齢÷2」という公式が広く記載されている。しかし、この似たような公式がきちんと頭に入るにはちょっと時間がかかる。また、4 歳 8 ヶ月の小児は、4 歳としていいのだろうか、それとも 四捨五入して 5 歳と考えればよいのだろうか?

年齢が同じでも個体のサイズにはかなりのばらつきがあり、「年齢」がもっとも重要なパラメータとして採用されていることには大いなる疑問がある。成人におけるチューブ留置の深さを考えても、同じ男性であっても身長 180cm の患者と160 cm では、当然のことながら留置長には差が生じるだろう。

そもそも、気管チューブというのは、一定の長さと太さを有している管であるが、その適切な挿入長を決める解剖学的な参照値は、門歯から声門までの距離と、声門から気管分岐部までの距離だ。これらの距離にもっとも相関があるのは、身長であろうか、年齢であろうか、はたまた体重であろうか? 愚問である。長さを規定するのは長さであり、もっとも重要なパラメータは身長に決まっている。

通常、気管挿管の手順から言えば、まずチューブサイズを決定し、実際に挿入してから留置長を決めるであろう。しかし、ちょっと発想を逆転して、まず身長から留置長を推定して、その留置長からチューブサイズを決定することにしてみよう。

1982 年に、モーガンは、小児を対象としてチューブ留置長と年齢、体重、身長との相関関係を報告し、身長をパラメータとしたチューブの深さを求める公式を発表している。「モーガン公式」と呼ばれている。年齢や体重をパラメータとした公式よりも簡易でもっとも信頼性が高いとしている。残念ながら日本ではあまり知られていない(?)。
Morgan GA, Steward DJ. Linear airway dimensions in children: including those from cleft palate. Can Anaesth Soc J 1982; 29: 1-8.

モーガン公式:気道長(門歯~気管中点:cm)=身長÷10+5 (全年齢層)

なんともシンプルで美しい公式だ。この公式を覚えるついでに、
右内頸静脈からの CV カテーテルの適切な留置長を推定する公式 :身長÷10-2
もいっしょに覚えておこう。

選択するチューブのサイズ(ID)は、「留置長÷3」とし、その前後サイズを次候補として準備しておく。

この方法であれば、一つの公式と、「3」というパラメータを覚えればよいだけである。気管チューブのサイズ、「4+年齢÷4」、固定長「12+年齢÷2」という 2 つの公式を覚えるよりもはるかに簡単で、目の前の患児が何歳であるかに関わらず身長さえ分かればよく、おそらくは精度も高く、年齢層も新生児から成人まで適応可能であると信じている。
<例>
・身長 140cm の小児;留置長=140÷10+5=19cm、 チューブサイズ(ID)=19÷3=6.5
・身長 120cm の小児;留置長=120÷10+5=17cm、 チューブサイズ(ID)=17÷3=5.5
・身長 100cm の小児;留置長=100÷10+5=15cm、 チューブサイズ(ID)=15÷3=5.0
・身長 75cm の乳児;留置長=75÷10+5=12.5cm、チューブサイズ(ID)=12.5÷3=4.0



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 9

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック