遠隔虚血性プレコンディショニングは、人工心肺併用心臓手術後の短期的術後認知機能低下を予防する
Remote Ischemic Preconditioning Prevents Deterioration of Short-Term Postoperative Cognitive Function After Cardiac Surgery Using Cardiopulmonary Bypass: Results of a Pilot Investigation
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia Published Online: October 31, 2014
・遠隔虚血性プレコンディショニング(RIPC)は、脳虚血再灌流障害のモデルにおいて神経保護効果を発揮する。著者らは、RIPC は、イソフルラン+フェンタニル麻酔下に人工心肺(CPB)を使用した心臓手術を受ける患者で術後せん妄の発症率を低下させ、短期的術後認知機能の低下を防止することができるという仮説を検証した。
・退役軍人医療センターでの無作為化盲式単一施設での予備調査である。CPB を用いた待機的冠動脈、または弁手術を受ける、年齢≧ 55 歳の年齢と教養をマッチさせた 30 人の患者を対象とした。15 人の非手術患者も登録された。RIPC は、麻酔導入後に、短時間(5 分)の上肢虚血(タニケットを 200mmHg まで加圧)を 4 回、5 分間の再灌流(タニケットのオフ)期間を挟むことによって行われた。The Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICU せん妄スクリーニング・チェックリスト)を使用して、術前と術後毎日、少なくとも 5 日間評価した。最近の言語的、非言語的記憶、実行機能は、術前と術後 1 週間に、あるいは、非手術患者では 1 週間間隔で、標準神経心理検査セットを使用して評価された。Geriatric Depression Scale と Hachinski Ischemia scale を使用して、それぞれ、臨床的うつ病と血管性認知症の存在を同定した。
・RIPC 群と対照群間で、せん妄スコアに差は観察されなかった(p=0.54)。ベースライン神経認知スコアは、全 3 認知領域において、RIPC あり群 vs なし群で同様であった。RIPC で治療されなかった患者群では術後 1 週間に、2 つの非言語的記憶検査(図軽再構築と遅延図形再作成、それぞれ、P=0.001 と p=0.003)と 1 つの言語的記憶検査(遅発物語再生、p=0.0004)の成績の低下が観察された。この患者群では、実行機能の尺度の成績には変化がなかった。対照的に、RIPC を受けた患者群では、術前に比して術後に、全ての認知検査の成績は不変であった。RIPC を受けなかった患者群では、図形再構成、遅延図形再作成、直後物語再生、遅延物語再生において、認知機能成績が、ベースラインから少なくとも 1SD 低下が検出された。複合Zスコアに基づけば、神経心理学的検査で少なくとも 1SD 低下する頻度は、RIPC 治療を受けなかった患者に比して、受けた患者群の方が有意に少なかった(1 vs 9、p<0.0001)。術後の全体的な認知機能成績は、RIPC 治療を受けなかった患者に比して、受けた患者群の方が良好であった(p=0.002)。臨床的なうつ病と血管性認知症は、いずれの群でも検出されなかった。
・本予備調査の結果からは、イソフルラン+フェンタニル麻酔下に CPB を使用した心臓手術を受ける患者において、RIPC は、短期術後認知機能の低下を防ぐことが示唆されたが、せん妄についてはなんら差を検出することはできなかった。
[!]:上肢の一過性の虚血再灌流をを繰り返すだけで、術後の認知機能に差が生じるとは!
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia Published Online: October 31, 2014
・遠隔虚血性プレコンディショニング(RIPC)は、脳虚血再灌流障害のモデルにおいて神経保護効果を発揮する。著者らは、RIPC は、イソフルラン+フェンタニル麻酔下に人工心肺(CPB)を使用した心臓手術を受ける患者で術後せん妄の発症率を低下させ、短期的術後認知機能の低下を防止することができるという仮説を検証した。
・退役軍人医療センターでの無作為化盲式単一施設での予備調査である。CPB を用いた待機的冠動脈、または弁手術を受ける、年齢≧ 55 歳の年齢と教養をマッチさせた 30 人の患者を対象とした。15 人の非手術患者も登録された。RIPC は、麻酔導入後に、短時間(5 分)の上肢虚血(タニケットを 200mmHg まで加圧)を 4 回、5 分間の再灌流(タニケットのオフ)期間を挟むことによって行われた。The Intensive Care Delirium Screening Checklist(ICU せん妄スクリーニング・チェックリスト)を使用して、術前と術後毎日、少なくとも 5 日間評価した。最近の言語的、非言語的記憶、実行機能は、術前と術後 1 週間に、あるいは、非手術患者では 1 週間間隔で、標準神経心理検査セットを使用して評価された。Geriatric Depression Scale と Hachinski Ischemia scale を使用して、それぞれ、臨床的うつ病と血管性認知症の存在を同定した。
・RIPC 群と対照群間で、せん妄スコアに差は観察されなかった(p=0.54)。ベースライン神経認知スコアは、全 3 認知領域において、RIPC あり群 vs なし群で同様であった。RIPC で治療されなかった患者群では術後 1 週間に、2 つの非言語的記憶検査(図軽再構築と遅延図形再作成、それぞれ、P=0.001 と p=0.003)と 1 つの言語的記憶検査(遅発物語再生、p=0.0004)の成績の低下が観察された。この患者群では、実行機能の尺度の成績には変化がなかった。対照的に、RIPC を受けた患者群では、術前に比して術後に、全ての認知検査の成績は不変であった。RIPC を受けなかった患者群では、図形再構成、遅延図形再作成、直後物語再生、遅延物語再生において、認知機能成績が、ベースラインから少なくとも 1SD 低下が検出された。複合Zスコアに基づけば、神経心理学的検査で少なくとも 1SD 低下する頻度は、RIPC 治療を受けなかった患者に比して、受けた患者群の方が有意に少なかった(1 vs 9、p<0.0001)。術後の全体的な認知機能成績は、RIPC 治療を受けなかった患者に比して、受けた患者群の方が良好であった(p=0.002)。臨床的なうつ病と血管性認知症は、いずれの群でも検出されなかった。
・本予備調査の結果からは、イソフルラン+フェンタニル麻酔下に CPB を使用した心臓手術を受ける患者において、RIPC は、短期術後認知機能の低下を防ぐことが示唆されたが、せん妄についてはなんら差を検出することはできなかった。
[!]:上肢の一過性の虚血再灌流をを繰り返すだけで、術後の認知機能に差が生じるとは!
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