脊椎矯正手術を受ける患者で術中出血を制御するための高用量トラネキサム酸の予備調査

Preliminary Investigation of High-Dose Tranexamic Acid for Controlling Intraoperative Blood Loss in Patients Undergoing Spine Correction Surgery
The Spine Journal Published Online: November 29, 2014

トラネキサム酸5.png・脊椎の変形矯正手術の件数と複雑さが増すにつれて、出血は、しばしば大量の術中輸血を必要とし、手術に際しての主要な制限要因となる。このシナリオは、特に、後方全脊柱骨切り術 (PVCR)時であり、大量の術中出血量が患者に大きなリスクをもたらす可能性があり、手術の円滑な進行を妨げる。トラネキサム酸(TXA)は、何十年もにわたって、出血と輸血必要性を低減するために、心臓や、大きな脊椎手術を含む整形外科手術で使用されてきた。本研究の目的は、PVCR 術式を含む後方脊柱変形矯正手術における高用量 TXA の有効性と安全性を評価することであった。

・脊椎矯正手術を受ける脊柱変形のある 50 人の患者(年齢 7 ~ 46 歳)を対象とした単施設での後ろ向き研究で、患者群を 2 群に分けた:TXA 群(8 人の PVCR 患者を含む合計 26 人の患者)と対照群(9 人の PVCR 患者を含む合計 33 人の患者)。TXA 群の患者は、皮膚切開前に 20 分間かけて 100mg/kg の負荷用量を静脈内投与し、続いて、皮膚閉鎖が完了するまで 10mg/kg 持続維持注入した。対照群患者は、同量の生食を注入された。統計には、推定術中出血量、実際の血液損失(出血量/血液量×100%、RBL)、輸血必要量、凝固パラメータ、全血球数、肝機能、腎機能が含まれた。本研究の全患者は、術後に意識レベル、呼吸状態、胸部圧迫感や痛み、尿量を慎重にモニターした。これらは、肺塞栓症、心筋梗塞、てんかん発作、急性腎不全の有無を検出するために行った。TXA で治療された患者は、手術前後に血管エコーで検査した。本研究は、何の資金援助も受けなかった。本研究には特別な利害対立と関連バイアスはない。

・2 群間に人口統計学的および手術上の特徴に有意差はなかった。TXA 群患者の出血量は、2441±1666mL であったのに対して、対照群患者では 4789±4719mL であった。その差は統計的に有意であった(P<0.05)。 TXA 群患者の平均実質出血量(RBL)は 80.6±49.6% vs 対照群で 160.8±163.1% であった(P<0.05)。TXA 群の患者の輸血必要量の方が、対照群よりも有意に少なかった(P<0.05)。PVCR 患者群と、非 PVCR 患者群の両方で、出血量、RBL、輸血必要量は、対照群と比較して、全て TXA 群の方が有意に少なかった。TXA 群では、PVCR を受けた患者では出血量が平均 57.4% 減少しており、PVCR を受けなかった患者では 39.8% 出血量が減少した。TXA 群と対照群との間に、肝腎機能に差はなかった。TXA 群で、下肢静脈血栓、症候性心筋梗塞、症候性肺塞栓症、てんかん発作、急性腎不全の報告は全く認められなかった。

・本研究では、高用量 TXA が効果的に出血量を制御し、輸血必要量を減少させることが示された。この効果は、PVCR を受けた患者の方が明らかであった。本研究では薬物の副作用はなんら記録されなかった。将来的に、著者らの結果を確認するための前向き無作為化対照試験が必要であろう。また、高齢者に対して TXA の使用を拡大した場合の安全性を確認するために、今後、高齢患者コホートを対象とした研究が実施される必要があるかもしれない。

[!]:高用量って、ほんとに高用量だな。初期負荷用量が 100mg/kg とは! しかし、結果は、後ろ向き研究ではあるが出血量が半減している。

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1.脊椎手術でトラネキサム酸は有効で安全か? 無作為対照試験のメタ分析

2.脊椎固定術での低用量トラネキサム酸の予防的投与の効果;無作為臨床試験

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