プチ挿管困難時に役立つ挿管補助用具「ガムエラスタイレット」自作の紹介

 昨今は、ビデオ喉頭鏡が普及してきたので、挿管困難時のファーストチョイスは、「ビデオ喉頭鏡」という施設が増えてきただろう。しかし、設備のあまり整っていない小さな病院への出張麻酔時などは、必ずしもビデオ喉頭鏡や気管支ファイバーが利用できるとは限らない。また、高価な器具だけに、無理に購入を要請することもできない。

 従来から、挿管困難時のファーストチョイスとして重宝されてきたのが、ガムエラスティック・ブジーだ。英国では挿管が難しいときのファーストチョイスとされ、近年の DAM アプローチにおいても採用されている。ビデオ喉頭鏡に比べるとはるかに安価だ。しかし、これとて、手術室に常備しているという施設はどれくらいの割合だろうか。常勤麻酔医のいない病院では、常備されていないことが多いのではないだろうか。

 要するに、挿管が難しい状況の多くは、気管チューブを挿入するのは困難だが、ガムエラスティックブジーなら気管に誘導できることが多いのだ(プチ挿管困難)。

 そこで、今日は、ガムエラスティック・ブジーの特性とスタイレットの両方の特性を兼ね備えた挿管補助用具「ガムエラスタイレット」ちなみに、これは私が勝手に付けた名前だ。)を安価に作成する方法を紹介する。

<材料>
1.アルミ自在ワイヤー、太さ 3mm タイプ、2.1m
 ・ダイソーで 100 円で購入できる。
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2.吸引カテーテル、太さ 14Fr、長さ 56cm
 ・今回使用したのは、ニプロ製のもの(1本 70 円)。
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<作成方法>
1.アルミワイヤーを 約 60 cm に切断する。
 ・ペンチか、ニッパ、あるいはハサミでも切断可能。

2.吸引カテーテルにワイヤーを通す。
 ・オリーブ油か、潤滑剤をワイヤーに塗っておいた方が通しやすい。

3.吸引カテーテルの先端から 1cm の所まで挿入する。
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4.アルミワイヤーの後端にリングを作って、ワイヤーが深くならないようにする。
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一応、これで完成だ。

<気管チューブへの挿入準備>
 挿管困難時は、必然性がない限りは、チューブサイズは細いものを選択するのが原則だ。通常は、内径が 6 mm もあれば、普通の全身麻酔にはなんら支障はない。

1.気管チューブに潤滑剤を塗布したガムエラスタイレットを挿入し、チューブ先端から 1~2 cm 飛び出るようにセットする。
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2.ガムエラスタイレット後端を、チューブの近位端を出た所で、「Z」字状に曲げて、スタイレットが深く入り過ぎないようにする。
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3、ガムエラスタイレットの先端から 2-3 cm のところで、チューブごと、30 度程度曲げる。アルミワイヤーなので手でも十分曲げることが可能だ。
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4.気管チューブ全体に、通常のスタイレットを使用するときと同じように、自分が扱いやすい形状に曲げて整える。
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5.気管チューブの先端とスタイレットとのギャップが最小となるように、チューブのベーベルが下に向くように調節する。
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 ・この時、チューブがどうしても元の形状に戻ろうとする力で回転してしまう場合は、「Z」字状に曲げたスタイレットを利用して、回転をブロックする。

 使ってみれば分かるが、ちょっとした挿管困難(Cormack & Lehane Ⅱb~Ⅲ)では、これさえあれば容易に挿管可能だ。
 
 また、ビデオ喉頭鏡を使用しても、喉頭蓋と声門下端だけしか視認できないようなときも、この「ガムエラスタイレット」は役に立つ。

 アルミワイヤーは長さが約 2.1メートルあるので、1 本のワイヤーから 3 本のガムエラスタイレットを作成できる。1 本当たりの材料費は、約 100 円である。これなら、使い捨てで使用してもいいだろう。いつでも使用できるように滅菌しておこう。

 なお、出張麻酔時には、麻酔バッグに折りたたんで収納しておけば、いざという時に役立つかもしれない。使用する際には、酒精綿でフキフキして使えば問題ないだろう。
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この記事へのコメント

かわいい&スゴイ
2015年05月16日 17:09
これを使った McGrath または AWS のyoutube 作成を希望します。
 いつもながら”職人ワザ”を感じます。

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