Q:スニッフィング・ポジション(sniffing position)とは?

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A: 'sniffing position' をそのまま訳すと「(匂いを)かぐ姿勢」とでもなるのだろう。しかし、そう言われてもピンとくる人は少ないんじゃないかな。匂いを嗅ぐときに鼻を突きだして「くんくん」とやる時の姿勢だ。

気管挿管を初めて習うときに教えられる、挿管に適した体位のことだ。しかし、この表現は、あまりにも文学的で、科学者としての医者にはなじまない。

もう少し、噛み砕いて、解剖学的な表現に置き換えるとするならば、
1.頭の下に 10cm 程度の枕を置いて、頭部を拳上する。こうすることにより下位頸椎は前屈することになる。
2.下顎を突き出すようにする。そうすることにより、上位頸椎(環椎軸椎関節)を伸展させる。

要するに sniffing position とは、「下位頸椎を屈曲し、上位頸椎を伸展した体位」ということだ。

では、なぜ、この体位が気管挿管に適しているのだろうか。それを説明しているのが下の図だ。

OA(Oral Axis)=口腔軸
PA(Pharyngeal Axis):咽頭軸
LA(Laryngeal Axis):喉頭軸
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通常の仰臥位では、口腔軸(OA)と喉頭軸(LA)はほぼ直行しており、咽頭軸(PA)と喉頭軸(LA)もある程度の角度を成している(図A)。
頭の下に枕を置いて、頭部を拳上し、下位頸椎を前屈することにより、PA と LA はほぼ重なり合って一直線となる(図B)。
さらに、下顎を突き出して、上位頸椎(環椎軸椎関節)を伸展させることにより、OA が PA・LA と成す角度を小さくすることができる(図C)。

理論的には、'sniffing position' を取ることによって、口腔軸、咽頭軸、喉頭軸の成す角度を可能な限り小さくして、口の外から、喉頭を直視できるようにするのに都合の良い姿勢になるというわけだ。



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