セボフルラン麻酔からの覚醒を促す小技

私は、従来からセボフルラン麻酔を終了する際に、セボフルラン気化器のダイアルをゼロにすると同時に、新鮮ガス流量を空気 8L/min+酸素 2L/min 程度の高流量に変更して、さらに、手動換気に切り替えて、Lコネクタ部分で患者を麻酔回路から切り離して指で L コネクタ部分を閉塞して 10 秒間の酸素フラッシュを行っている。

麻酔の呼吸回路は、カニスターやベローズ含めて通常は、4-5L の容量があり、セボフルラン気化器のダイアルをゼロにしても、この容量のガスには、気化器をオフにする前の濃度のセボフルランが含まれている。

麻酔器の換気装置は、通常の人工呼吸器とは異なり、吸気ガスの全てを新鮮ガスを使用するわけではなく、呼気の二酸化炭素をカニスタで吸収して、麻酔ガスを再利用できるようにリサイクルシステムが内蔵されている。そのために、セボフルラン気化器のダイアルをゼロにしても、しばらくは、吸入ガスのセボフルラン濃度はゼロにはならない。

通常、酸素フラッシュ装置は、 30L/mion 程度以上の流速を有するので、10 秒間の酸素フラッシュを行えば、30×10/60=5L 程度のセボフルランを全く含まない新鮮ガスを麻酔器の呼吸回路に送り届けることができる。こうすることにより、麻酔器内に存在するセボフルランを可及的に余剰ガス排除装置側に送り込んでから、人工呼吸を再開する。

これを行わない場合は、吸入ガスのセボフルラン濃度は次第に低下してゆっくりとゼロに近づくが、酸素フラッシュを行った後は、ほぼ確実に吸入ガスのセボフルラン濃度はゼロになる。

セボフルラン麻酔から覚醒させる場合、セボフルランは、脳⇒血液⇒肺胞のセボフルランの濃度勾配にしたがって排出されるので、少しでも早く吸入ガスのセボフルラン濃度をゼロにすることによって、その濃度勾配(Δセボフルラン濃度)を最大にすることができる。
画像

この図で、水色の曲線下面積と、緑色の曲線下面積は同じ、つまり、体外に排出されるセボフルランは同量と考えている。酸素フラッシュを行ってセボフルランの濃度勾配を早期に高くした方が、セボフルランが早く体外に排出されて覚醒濃度に達するのが早いというイメージ図である。

覚醒時の高濃度酸素による無気肺形成の懸念からいえば、本当は、酸素フラッシュではなくて、空気フラッシュの方が好ましいとは考えているのだが。

<関連記事>

半閉鎖再呼吸回路でのセボフルラン麻酔からの覚醒に与える活性炭フィルタの効果

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック