Q:脊椎麻酔、高比重液と等比重液はどう使い分けるか?

A:脊椎麻酔に際しての薬液の広がりを規定するのは、注入薬液量とベーベルの向きによる薬液注入方向もさることながら、投与薬物そのものの性質から言えば、濃度勾配に従った「拡散」という現象と、薬液の比重と髄液の比重との違いに由来する「重力に従った薬液の広がり」という 2 つの要因が重要である。

脊椎麻酔が適応となる手術のほとんどは、患側が存在する。手術に際して、右側だけとか左側だけを効かせればよいという手術がほとんどだ。「ぜひとも左右均等に効かせたい」という手術術式は少ない。

「ぜひとも左右均等に効かせたい」という手術術式は、両下肢の骨折や静脈瘤で、一度の手術で両側の手術をしたいという場合くらいだ。こういった場合は、等比重液を使用するのが賢明だ。

また、下肢の骨折で患側だけ効かせれば良いのだが、痛みのためにどうしても患側を下にできないという場合もある。この場合も、等比重液の適応だ。

この 2 点だけを考慮して、等比重液を選択する。それ以外の場合は、原則的に高比重液を使用すれば事足りる。高比重液を使用していれば、麻酔レベルの確認でレベルが足りないと判断した場合には、頭低位にすることで麻酔レベルを後から調整することが可能になる。

それに対して、等比重液を使用した場合には、もしもレベルが足りないと判断しても、もうどうしようもない。レベルが上がってくることをひたすら神様に祈るしかない。いわゆる「一発勝負」なのだ。

患側を下にできる場合は、高比重液を注入後に、約 5 分間、患側を下にしたままで、ある程度麻酔レベルが固定するまで側臥位のままで待ってから仰臥位とする。

ということで、「高比重」を選択するか、「等比重」を選択するかは・・・・
「患側を下にできない場合や両側効かせたい場合は等比重、患側を下にできる場合は高比重液を選択する。」というのが、私なりには正解だと思っている。

『じゃあ、患側というのは存在しない、左右どちらにも偏りのない正中部分での手術、「痔核手術」、「帝王切開」、「除睾術」などという手術の場合はどうするの?』と問われる方もいるかもしれない。

このような場合は、高比重液を使用して薬液注入後、できるだけ早い時期に仰臥位に戻すことで、かなり左右差を減少させることができるので、高比重液の使用で問題はない。

高比重液を使用した場合は、等比重に比べて、麻酔高が急速に上昇して、低血圧をきたすことが多い点、等比重液は効果発現がゆっくりなので、麻酔高が十分に広がるまで、じっくり待つことが必要になることがある、というのが注意点である。

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