Q:会陰部に限局した手術(痔、尿道脱など)の麻酔はどうするか?

A:標準的には、サドルブロックという脊椎麻酔の一種がもっともよい適用となります。

サドルブロックの要点は、「座位」と「少量の高比重液」です。患者を座位として、L4/5 あるいは、L5/S1 レベルで、くも膜下穿刺を行い、高比重液 1-1.5mL を注入することで、S領域に限局した麻酔を得ることができます。

注入後は、しばらく座位のまま保持します。薬液が重力にしたがって尾側に拡がり、局所麻酔薬が神経組織に吸着されて、麻酔がある程度固定するのを待つためです。
Q:サドルブロックとは?

しかし、時には、手術の対象とする部分=会陰部の痛みが強くて、「座位になれない」、あるいは、「短時間はなれても、5 分間も保持できない」、という場合もあるでしょう。

そのような場合には、患者を側臥位として、手術台の頭側を挙げて仙骨が穿刺部位よりも低めになるように調節した上で、サドルブロックの場合と同様に、L4/5 あるいは、L5/S1 レベルで、くも膜下穿刺を行い、高比重液を注入します。この場合も、薬液の量は多くとも 2mL とします。通常は 1.5mL で充分です。注入後は、すぐ仰臥位に戻します。

また、術者が通常の側臥位での脊椎麻酔には慣れていても、座位での穿刺には慣れていないという場合にも、同じ方法を使用することが可能です。

そうすることで、サドルブロックほどではないですが、ある程度S領域に限局した麻酔を得ることができます。この場合、さらに推奨されるテクニックとしては、薬液を注入する際に、ベーベル(脊椎麻酔針の薬液が噴出する部分)が尾側を向くようにして調節してから注入すると、薬液の尾側への広がりを促進することができます。
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手術自体は下肢の運動・知覚麻痺を得る必要が全くないにも関わらず、手術後も長時間にわたって、下肢麻痺が続くというのは、患者さんにとっては不快なものです。寝返りさえままならないのですから。また、近年は下肢の静脈血栓、肺塞栓予防の観点からも、下肢の運動麻痺が長時間持続するのは好ましいとは言えません。

患者さんにとって快適なのは、麻酔による運動麻痺、知覚麻痺は早期に消褪するが、痛みが出現しないということでしょう。

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