待機的腹部大動脈瘤修復術に際しての硬膜外併用全身麻酔と単独全身麻酔

・硬膜外鎮痛(EA)は、待機的腹部大動脈瘤手術(AAA)中に術後疼痛管理のための補助処置として使用される。鎮痛に加えて、脊髄交感神経活動に及ぼす EA の調節効果は、臓器灌流を改善し、合併症を減少させる結果となる。術後合併症の減少は、回復期間の短縮と、おそらくは 30 日生存期間の改善につながる。しかしながら、待機的 AAA 術中に全身麻酔(GA)の補助剤として使用される場合、長期生存に及ぼす EA の効果は不明である。

・研究の目的は、待機的開腹 AAA 修復術を受ける患者で、EA と GA の併用 vs GA 単独で、長期生存と術後合併症との関連性を評価することであった。前向きに収集されたデータの後ろ向き分析を実施した。2003 年 1 月 1 日から 2011 年 12 月 31 日までに、待機的 AAA 修復術を受けた患者を、ニューイングランド血管学会群(VSGNE)データベースで確認した。Kaplan-Meier 曲線を用いて生存率を推定した。Cox 比例ハザード回帰モデルと多変量ロジスティック回帰モデルを使用して、EA-GA の使用と術後死亡率と罹患率との独立した関連性をそれぞれ評価した。データ分析は 2015 年 3 月 15 日から 2015 年 9 月 2 日まで行われた。主要評価項目指標は全死因死亡であった。副次評価項目には、術後腸管虚血、呼吸器合併症、心筋梗塞、透析の必要性、創部合併症、手術後 30 日以内の再手術治療の必要性が含まれた。

・合計 1540 例の患者が試験期間中に待機的 AAA 修復術を受けた。そのうち 410 人(26.6%)が女性で、年齢の中央値(四分位範囲)は 71 歳(64-76 歳)であった。980 人(63.6%)が EA-GA を受けた。2 群の患者は、年齢、併存疾患、腎動脈上遮断部位に関して同等であった。5 年後の時点で Kaplan-Meier で推定された全生存率は、EA-GA と GA 単独で、それぞれ 74%(95%CI、72%-76%)と 65%(95%CI、62%?68%)であった(P<0.01)。調整済み分析では、EA-GA の使用は、GA 単独と比較して死亡の危険性が有意に低かった(ハザード比、0.73; 95%CI、0.57-0.92、P=0.01)。EA-GA を受けた患者はまた、術後再発率(OR、0.56; 95%CI、0.44-0.94、P=0.02)、ならびに、術後腸管虚血(OR, 0.54; 95% CI, 0.31-0.94、P?=0.03)、肺合併症(OR、0.62; 95%CI、0.41-0.95、P=0.03)、透析必要性(OR、0.44; 95%CI、0.23-0.88、P=0.03)も低かった。創部合併症(OR、0.88; 95%CI、0.38-1.44、P=0.51)と、心臓合併症(OR、1.08; 95%CI、0.59-1.78、P=0.82)については有意差は認められなかった。

・硬膜外併用全身麻酔は、待機的 AAA 修復術を受ける患者で、生存率の改善と、有意に低い HR、死亡と合併症の低いオッズ比と関連していた。生存利益は、術後直後の有害事象の減少に起因する可能性がある。これらの知見に基づいて、EA-GA は適切な患者において強く考慮されるべきである。

[!]:開腹腹部大動脈瘤手術では、硬膜外麻酔の併用が死亡率と合併症率の減少に有益であると。

【出典】
Combined Epidural-General Anesthesia vs General Anesthesia Alone for Elective Abdominal Aortic Aneurysm Repair.
JAMA Surg. 2016 Dec 1;151(12):1116-1123. doi: 10.1001/jamasurg.2016.2733.

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