Q:ラリンジアルマスクのサイズ選択<まとめ>

ラリンジアルマスクが留置される場所である咽頭腔の大きさは何によって推定するのが一番信頼性が高いだろうか?

「頭頚部側面のレントゲン写真」が得られればもっとも推定しやすいかもしれないが、日常的に撮影できるものではないので、これは除外するとしよう。

年齢?、身長?、実体重?、理想体重?、性別?

この中で、明らかに不適切なのは年齢だ。小児では、年齢と身長や体重の間には線形相関があるから、年齢と使用するラリンジアルマスクのサイズとの間にもある程度の相関があるだろう。しかし、成人では年齢は全く関係ない。

同年齢の小児では性別は関係ないことが分かっている。しかし、成人では、ざっくりと男性の方が女性よりも体格が大きいから、男性の方が女性よりも大きなサイズが必要となる可能性は高い。

また、声のトーンが女性の方が高く、男性の方が低いのは、男性は思春期に「声変わり」があり、甲状軟骨、いわゆる「アダムのリンゴ」が成長することによって声帯が長くなるためとされている。

声帯の長さは、男性では 17~23.5mm であるのに対して、女性では 11~17mm しかないというデータがある。したがって、青年期以降では、同じ体格でも男性の方が、女性よりも大きな喉頭腔・咽頭腔を有していることになるだろう。

しかし、体格を無視して、性別だけでサイズを選択するというのは、あまりにも無謀だ。

では、ラリンジアルマスクのメーカー推奨の体重(実体重)はどうだろうか?小児では適合率が 70% 台であるが、青年/成人では 50% 以下という研究結果が出ている。

成人では、実体重よりも理想体重の方が適合率が高いという結果が出ていることから、結局のところ、理想体重を計算するために必要な身長と性別が、少なくとも実体重よりは信頼性の高いパラメータだと言えよう。

その他、考慮するべきは肥満度である。睡眠無呼吸という病態が肥満と大いに関係していることからも推察されるように、肥満度が増すにしたがって、咽頭腔は肥大した軟部組織のために狭小化するために、より小さいサイズが適当なサイズになる可能性がある。

また、咽頭腔のサイズの推定とは別に、実際にラリンジアルマスクのサイズを選択する際に考慮するべきは、麻酔管理に際しての術中呼吸管理の方法だろう。

自発呼吸で麻酔を維持するのであれば、リーク圧はあまり問題にならないので小さめでも構わないが、人工呼吸するのであれば、高いリーク圧が必要なので、大きめのサイズを選択した方が術中呼吸管理がスムーズになるだろう。

ラリンジアルマスクのサイズを決定するパラメータを重要な順に列挙すると

1.身長
2、性別
3.肥満度
4.自発呼吸か、人工呼吸か?
5.「体格と咽頭腔のバランス」という個体差

・・・ということで、一応、暫定的な【身長と性別を基にしたラリンジアルマスクのサイズ選択】表を作成してみた。
画像

また、境界領域では、以下のような解剖学的測定値が役に立つかもしれない。

1、「舌幅」に最も近いサイズ
2.「示指~環指の幅」に最も近いサイズ
3.「耳介」に最も近いサイズ
4.マスク長が「手幅」を超えるサイズ

以上のサイズ選択法を使用して多数決で決めて、それでも適合サイズでなかった場合には、悲しいかな!反省するしかないかな。

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