経腹式腹膜前修復(TAPP)における声門上気道器具と気管チューブとを比較した術後疼痛に関する無作為臨

・経腹式腹膜前修復(TAPP)は、日本における鼡径ヘルニア治療のために最も広く使用されている腹腔鏡技術である。多くの研究は、開腹ヘルニア修復と比較して、腹腔鏡修復の方が、疼痛が少なく回復期が短くなることを示している。しかし、術後痛は依然として懸念されている。術後早期の術後痛の 1 つの原因は、気管チューブ抜去時の緊張や咳嗽である。声門上気道器具(SGA)の使用は、そのような訴えを避けるのに役立つ。全身麻酔に際して SGA を用いた TAPP 修復後の術後疼痛を評価した。

・2013 年 5 月から 2016 年 5 月に、著者らの病院で TAPP 修復された鼡径ヘルニア患者 146 人の術後疼痛を評価した。針孔腹腔鏡下 TAPP 手術を受けた、ASA-PS I/II の合計 144 人の成人患者を、無作為に各群 72 人の 2 群に割り当てた:A 群(SGA)では、患者の気道は、適切な大きさの i-gel で確保され、B 群(気管チューブ)は、軌道は喉頭鏡下に確保された。

・患者背景、術後入院期間、手術時間は群間に有意差はなく、全症例で安全に TAPP が実施された。術後疼痛の分析では、A 群の最高疼痛の数値評価尺度スコアの平均の方が、B 群のそれより有意に低かった(2.10±2.05 vs 2.90±2.65; p=0.043)。A 群では、NRS スコア 0 の患者の割合は、手術 30 分後 51.4%、6 時間後 62.5%、POD1で 68.1% であり、B 群と比較して NRS スコアは POD1 で有意に高く(p=0.003)、A 群の方が、術後疼痛のレベルは B 群よりも早く低下する傾向があった。

・本研究の結果は、SGA 器具が腹腔鏡手術後の術後疼痛を軽減できることを初めて示したものである。

[!]:英文に忠実に訳したが、結果の段落の「NRS スコアは POD1 で有意に高く(p=0.003)」は、「有意に低く」の間違いだろう。日本の倉敷中央病院からの報告である。外科医が低侵襲を目指しているのだから、麻酔科医も精進しなくては!

【出典】
A randomized clinical study on postoperative pain comparing between the supraglottic airway device and endotracheal tubing in transabdominal preperitoneal repair (TAPP).
Hernia. 2017 Feb 13. doi: 10.1007/s10029-017-1586-y. [Epub ahead of print]

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  • 《レビュー》 腹腔鏡手術には第二世代の SGA を!

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