気管チューブの挿入長、両側聴診、胸部の動きの観察によって検出された気管支内挿管:無作為化試験

・研究の目的は、成人の不注意による気管支内挿管を検出する、どのベッドサイドの方法が最も高い感度と特異度を有するかを調査することであった。

・三次教育病院麻酔科での、待機的婦人科/泌尿器科手術に予定された年齢 19~75 歳の 160 人の一連の患者(ASA-PS分類 I/II)を対象とした無作為化盲式試験である。患者を無作為に 8 研究群に割り当てた。4 群で気管チューブは、ファイバー視野下に気管分岐部上方 2.5~4.0cm に留置されたが、他の 4 群では、チューブは右主気管支に留置された。4 群は、気管チューブの位置を確認するのに異なるベッドサイド試験を使用した。チューブが気管内に適切に留置されているかどうかを判定するために、各患者で研修 1 年目のレジデントと、経験豊富な麻酔科医が無作為に胸部両側聴診(聴診)、対称的胸部運動の観察と触診(観察)、挿入長によるチューブ位置の推定;(チューブの深さ)、3 種類全て組み合わせ(全 3)を別々に実施した。

・主要評価項目は、気管チューブの位置の正誤判定であった。160 人の患者が、経験の異なる麻酔科医によって 320 回の観察を受けた。レジデント 1 年生は、症例の 55% で気管支内挿管を見逃し、経験豊富な麻酔科医よりもこのベッドサイド検査の成績がが有意に悪かった(オッズ比 10.0、95%信頼区間 1.4~434)。気管支挿管を検出する上で、チューブの深さと、3 種試験併用の方が、それぞれ感度が 88%(95%信頼区間 75%~100%)と 100% で、聴診(65%、49%~81%)や観察(43%、25%?60%)よりも有意に高かった(P<0.001)。試験された 4 種の方法は、気管支内挿管を排除する(すなわち、正しい気管挿管を確認する)ために同じ特異度を有していた。平均した正しいチューブ挿入長は、女性で 21cm、男性で 23cm であった。しかし、これら深さまでチューブを挿入することにより、女性の 20%(24/118)と男性の 18%(7/42)で、チューブの遠位端は、分岐部から 2.5cm 未満(挿管患者で頭位変化による不注意による気管支内挿管を防ぐための推奨安全距離)であった。したがって、最適なチューブ挿入長は、女性で 20cm、男性で 22cm と考えられた。

・経験の少ない臨床医は、不注意による気管支内挿管を検出するのに、聴診よりもチューブ挿入長の方を信頼するべきである。しかし、経験豊富な医師でさえも、特に、周囲の騒音が高度で正確な聴診が妨げられる場合(例えば、緊急事態やヘリコプター輸送など)には、女性で 20~21cm、男性で 22~23cm にチューブを挿入することで利点があるであろう。しかしながら、気管支内挿管を除外するための最も高い感度と特異度は、チューブの深さ、両肺の聴診、対称的な胸部の動きの観察を併用することによって達成される。

[!]:ちょっと古い文献だが、気管挿管後の気管支挿管を除外する方法として胸部聴診の感度の低さ、チューブ挿入長の確認の重要さを訴えた報告だ。個人的には、「身長÷10+5vm」(モーガン公式)よりも深くしてはいけないと思っている。気管挿管後の聴診は、けっしてゴールドスタンダードとするほどの信頼性はない。

【出典】
Endobronchial intubation detected by insertion depth of endotracheal tube, bilateral auscultation, or observation of chest movements: randomised trial
BMJ 2010; 341 Published 09 November 2010)

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