病院前環境で安全な気管チューブカフ圧を達成する:標準的なカフ膨張のやり方を改訂する時期か?

・多くの研究では、病院前環境において、安全でない気管チューブ(ETT)カフ圧(CP)が報告されている。本研究の目的は、安全な CP(20-30cmH2O) を達成するために最適なカフ膨張容量(CIV)を特定することであった。

・この観察研究は、試験前に 85°F の水浴中で冷凍から暖められた最近採取されたヒツジ気管を 30 個使用した。各気管に 5 つの異なるサイズの ETT (6.0~8.0mm)を挿管し、各サイズのチューブを 6 段階のカフ膨脹容量(5~10cc)で試験した。各気管毎に使用する ETT サイズの順序は、無作為に予め割り当てられた。データを記述的に要約し、混合効果ロジスティック回帰を用いて最適な CIV を調査する前に、分類した。

・113 回の CP 測定値(12.6%、N=900)のみが最適範囲(M=54.75 cmH2O、SD=38.52)内にあり、それらすべては CIV 6 か、または 7 cc(それぞれ 61% と 39%)によるものであった。CIV 5 cc(n=150)は、全ての場合においてインフレーション不足(<20 cmH2O)となったのに対して、CIV が 8、9、10 cc(それぞれ n=150)ではすべての場合において、ETT サイズに関わらず、過膨張と言う結果となった。安全な CP を達成する確率は、チューブサイズ 6.0(OR=15.9、95%CI=3.85-65.58、p<0.01)と 6.5mm(OR=3.16、95%CI=1.06-9.39、p=0.039)では CIV が 6cc の場合で大きかったが、チューブサイズ 7.0、7.5、8.0mm では、安全な CP を達成する確率は、CIV 6 と 7cc との間で有意差がなかった。気管周囲径(M=7.11cm、SD=0.40)や組織温度(M=81.32°F、SD=0.93)はいずれも CP の有意な予測因子ではないことが判明した(それぞれ p=0.20 と 0.81)。

・著者らの研究は、CP 測定値が望ましい基準外にある頻度が高いことを示した。CIV の範囲として 6~7cc は、望ましいカフ圧範囲を達成する確率が最も高いという結果をもたらしたが、8~10cc で膨らませたカフは、全ての場合で危険なほどに高い CP をもたらした。より理想的な解決法が存在しない場合、本研究の結果からは、推奨される CIV を 5~10cc から 6~7cc に狭めることは、任意のチューブサイズにとって妥当な目標であろうことが示唆される。

[!]:日本の救急救命士は、気管チューブのカフに 10mL のエアを注入するように指導されているが、ほとんどの場合、この量は過剰である。

【出典】
Achieving a Safe Endotracheal Tube Cuff Pressure in the Prehospital Setting: Is It Time to Revise the Standard Cuff Inflation Practice?
Prehosp Emerg Care. 2016;20(2):273-7. doi: 10.3109/10903127.2015.1061626. Epub 2015 Sep 18.

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