帝王切開分娩でのオピオイド併用クモ膜下高比重ブピバカインの最適投与量:前向き二重盲式無作為化研究

<ハイライト>
・オピオイドを併用したクモ膜下高比重ブピバカイン最適投与量を調査した。
・硬膜外に補助投与なく適切な麻酔を提供できる用量は 12mg であった。
・フェニレフリンの投与量と悪心嘔吐の発生率はブピバカインの投与量とともに増加した。

<要旨>
・待機的および緊急帝王切開に際しては、脊椎麻酔単独の方法(硬膜外カテーテル留置なし)が、よく使用されている。術中にずっと十分な麻酔を達成するには、関連する合併症を最小限にすることとバランスを取る必要がある。著者らは今回、帝王切開分娩中のオピオイドと併用投与したクモ膜下高比重ブピバカイン最適投与量を検討した。

・本前向き無作為化二重盲式用量範囲研究には、脊髄硬膜外併用麻酔下に帝王切開を受ける予定の患者が含まれた。対象は無作為に 7 つのクモ膜下 0.5% 高比重下ブピバカイン投与群群(6、7、8、9、10、11、12 mg)のうちの 1 群に割り当てられた。全被験者にフェンタニル 15μg とモルヒネ 75μg も投与した。ブピバカイン投与量は、10 分以内に両側の T6 冷感喪失が達成された場合に、成功(導入)とみなされた。クモ膜下注射後 60 分間硬膜外補充鎮痛を必要としなかった場合に、ブピバカイン投与は成功(維持)とみなされた。ロジスティック回帰分析を用いて、50%(ED50) と 95%(ED95)の患者での有効用量を推定した。

・成功(維持)の ED50 と ED95 は、6.0mg(95% 信頼区間(CI):4.5-7.5mg)と 12.6mg(95%CI:7.9-17.2mg)であった。呼吸不快感の発生率と母体満足度スコアは、投与群間で同様であった。フェニレフリン投与量と悪心嘔吐発生率は、ブピバカイン投与量の増加とともに増加した。

・本用量範囲研究では、補充鎮痛剤を使用せずに適切な術中鎮痛を達成するために約 12mg のクモ膜下ブピバカインが必要であったが、副作用を予防するためには注意深い投与が必要であることが示された。

[!]:一律に投与するとなれば、多く投与すればするほど成功率は高くなるだろうが、同時に副作用も多くなる。帝王切開は対象となる患者層が、比較的若い女性であるということで、患者毎に微調整するよりは、一律投与した方がシンプルで、成功率も高くなると主張する報告がある。しかし、たとえ妊婦であっても身長 150cm に満たない女性から 180cm もある妊婦だっている。やはり身長と体重などから、細かく投与量を調節する方法が、副作用を少なくしつつ成功率を上げる最良の方法だと思う。当院で 3 年前から採用している脊椎麻酔単独プロトコール(<関連記事>を参照)では、平均 0.9~10mg しか使用しないが、鎮痛剤を追加投与した例は、数例しかない。全身麻酔に途中変更した症例はほとんどない。

※ クモ膜下にフェンタニルを投与するのは、相対的に局所麻酔薬であるブピバカイン用量を減少させて、交感神経遮断に起因する低血圧の発生を軽減、ひいては悪心嘔吐の副作用を軽減することにより術中麻酔の質を高めるためであり、モルヒネを投与するのは、局所麻酔薬の効果消失後も術後鎮痛を長く維持させるためである。

【出典】
Optimal intrathecal hyperbaric bupivacaine dose with opioids for Cesarean delivery: a prospective double-blinded randomized study
International Journal of Obstetric Anesthesia Published online: April 14, 2017
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