帝王切開麻酔のための高用量ロクロニウム+スガマデクス拮抗は、サクシニルコリン導入に劣らない

・全身麻酔下の帝王切開に際してのロクロニウムは、筋弛緩拮抗にスガマデクスが利用できることから、麻酔の迅速導入の際のサクシニルコリンの代替薬である。しかし、帝王切開分娩に際し全身麻酔を受ける女性での、十分吟味された対照を用いた大規模な研究はない。本非劣性試験の目的は、帝王切開の全身麻酔を受ける女性で、ロクロニウムとスガマデクスが、サクシニルコリン、ロクロニウムとネオスチグミンの場合と比較して、気管挿管までの時間(主要評価項目)と他の筋弛緩効果に有益であるかを調査することであった。

・著者らは、本単盲式無作為化対照研究で、参加している 2 大学病院(チェコ共和国、ブルノ)で帝王切開の全身麻酔を受ける女性全員を登録することを目指した。女性は無作為に ROC 群(ロクロニウム 1mg/kg で筋弛緩を得てスガマデクス 2~4mg/kg で拮抗)か、または SUX 群(サクシニルコリン 1mg/kg で導入、ロクロニウム 0.3mg/kg で維持、筋弛緩の拮抗には ネオスチグミン 0.03mg/kg)。プロポフォール投与終了から気管挿管までの間隔が、主要評価項目で、非劣性マージンは 20 秒とした。著者らは、挿管条件(修正 Viby-Mogensen スコア)、新生児転帰(Apgar スコア<7、臍帯動脈血 pH)、麻酔合併症、主観的患者の訴えを記録した。

・著者らは 240 人の患者を登録した。気管挿管までの平均時間は、ROC 群で 2.9 秒(95%信頼区間、-5.3~11.2秒)長く、SUX 群と比較して劣っていなかった。喉頭鏡検査時の無抵抗は、SUX 群よりも ROC 群の方が多かった(ROC、87.5%; SUX、74.2%、P= 0.019)が、声帯位置(P=0.45)や挿管反応(P=0.31)には群間差はなかった。麻酔合併症の発生率や新生児転帰の統計的有意差は認められなかった(10 分 Apgar スコア<7、P=0.07、臍帯動脈 pH、P=0.43)。分娩後筋肉痛の発生率は、SUX 群の方が高かった(ROC 0% vs SUX 6.7%、P=0.007)。主観的訴えの発生率は ROC 群の方が低かった(ROC、21.4% vs SUX、37.5%、P=0.007)。

・著者らは、全身麻酔下の帝王切開分娩に際して、ロクロニウムによる迅速導入は、サクシニルコリンによる場合と比較して、気管挿管までの時間において劣っておらず、喉頭鏡検査抵抗のない頻度が高く、筋肉痛の発生率低下を伴っていると結論している。

[!]:あと懸念されるのは、新生児の転帰だな。挿管までの時間を短くするために高用量のロクロニウムを使用するので、胎盤通過量もそれに応じて多くなるだろうから。
画像

【出典】
Low-Dose or High-Dose Rocuronium Reversed with Neostigmine or Sugammadex for Cesarean Delivery Anesthesia: A Randomized Controlled Noninferiority Trial of Time to Tracheal Intubation and Extubation.
Anesth Analg. 2016 May;122(5):1536-45. doi: 10.1213/ANE.0000000000001197.

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