リドカインスプレーの喉頭気管内適用は、完全静脈麻酔後の術後咽頭痛の発生率を増加させる

・リドカインスプレーの異なる用量の喉頭気管内適用が術後の咽頭痛や嗄声に及ぼす影響を調査するため、プラセボ対照試験において、年齢 15~92 歳のASA I-III の患者 168 人でこれらの合併症の発生率と重症度を評価した。

・プロポフォール、ケタミン、フェンタニル、ベクロニウムを用いて麻酔を導入した後、喉頭気管領域を、リドカインスプレーで 5 回(L5 群、n=47)か、10 回(L10 群、n=48)か、通常の生食 1ml(プラセボ群、n=51)を挿管直前に噴霧した。術後の咽頭痛と嗄声を、手術直後と手術翌日に評価した。

・咽頭痛の発生率は、L10 群でプラセボ群と比較して、手術当日と翌日の両方で有意に高かった。咽頭痛の重症度は、手術当日のプラセボ群よりも L5 群と L10 群で有意に高かった。手術翌日に、咽頭痛の重症度は、L10 群の方がプラセボ群より有意に高いままであった。咽頭痛の発生率と重症度は用量依存的に増加したが、これらは L5 群と L10 群との間で有意差はなかった。さらに、3 群間にも、嗄声の発生率と重症度は全く差がなかった。

・著者らは、不要な術後咽頭痛をなくすのに役立てて、患者満足度の改善につなげるために、喉頭気管領域へのリドカイン噴霧の適用は避けるべきであることを推奨するとしている。

[!]:これも日本からのかなり古い論文だが、リドカインスプレー自体が、その思惑とは裏腹に術後の咽頭痛の原因となっているのではないかという論文。

【出典】
Laryngotracheal application of lidocaine spray increases the incidence of postoperative sore throat after total intravenous anesthesia.
J Anesth. 2004;18(4):237-40.

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