Q:ラリンジアルマスクにリドカインゼリーはなぜだめなのか?

A:リドカインによる局所麻酔作用によって咽頭周囲組織が麻酔されて、ラリンジアルマスクの抜去後もしばらく、その作用が継続し、誤嚥などの合併症を増加させる可能性があるからだ。

今や、いろいろなメーカーからラリンジアルマスクが製造販売されているが、たいがいの取扱説明書には、リドカインゼリーを使用しないよう注意書きがある。

「ソフトシール・ラリンゲルマスク」の場合
・リドカインゼリーを潤滑剤として使用しないこと[術後の合併症を増大させる恐れがあるため]。
・本品には、噴霧式表面麻酔剤(リドカイン噴霧剤等)を直接噴霧しないこと[製剤の添加物により、カフが破損(ピンホールの発生)する可能性があるため]。

「LMA Classic™, LMA Flexible™, LMA Flexible™ Single Use および LMA Unique™ 」の場合
警告: K-Y ゼリー® などの水溶性の潤滑剤を使用してください。シリコーン基材の潤滑剤は、LMA™ エアウエイのコンポーネントを劣化させるので使用しないでください。リドカインを含有する潤滑剤は、本製品に使用することは推奨されていません。リドカインは、LMA™ エアウエイを抜去する前に必要な患者の防御反射の回復を遅らせることがあり、また、アレルギー反応を誘発したり、声帯などの周辺組織に影響を及ぼしたりする可能性があるためです。

「LMA ProSeal」の場合
K-Y Jelly® などの水溶性潤滑剤を使用する必要があります。シリコンベースの潤滑剤は LMA ProSeal™ コンポーネントを劣化させるため、使用しないでください。リドカイン含有の潤滑剤は推奨しません。リドカインは、防御反射の戻りを遅らせ、アレルギー反応を引き起こしたり、声帯などの周辺構造に影響を及ぼす可能性があります。

かなり昔の文献になるが、ラリンジアルマスクの潤滑剤として生食と 2% リドカインを比較した報告がある。
Laryngeal mask lubrication. A comparative study of saline versus 2% lignocaine gel with cuff pressure control.
Keller C1, Sparr HJ, Brimacombe JR.
Anaesthesia. 1997 Jun;52(6):592-7.

カフ圧を 60 cmH2Oに、最高気道内圧を 17 cmH2O に制限した陽圧換気を受けた 126 人の患者のラリンジアルマスク・エアウェイの潤滑剤として、2%リグノカインゲルを生理食塩水と比較した。咽喉頭痛の発生率は両群で同等であり、覚醒に問題はなかった。リグノカイン群では、術中合併症が有意に多く(p<0.05)、咽喉頭痛の頻度は、器具を初回試行で挿入できた場合は同様であった。呼気終末二酸化炭素値を正常に維持する陽圧換気はすべての患者で可能であった。リグノカインゲルは、ラリンジアルマスク・エアウェイの潤滑剤としては不適当である。60 cmH2O までにカフ圧を制限しても必ずしも換気を妨げるものではなく、覚醒時やや術後の合併症の軽減に重要な要因となる可能性がある。

・・・ということで、ラリンジアルマスクを使用する場合は、合併症を増やさないようにリドカインゼリーは避けて、K-Y ゼリーのような水溶性潤滑剤を使用しよう!!

ちなみに、海外では、Teleflex 社が、気管チューブやラリンジアルマスク用に小用量(8.5g)の「TRACHJELL」という水溶性潤滑剤を製造販売しているようだ。日本でも利用できればよいのにな~。

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