ラリンジアルマスクを介した揮発性麻酔薬吸入は、非重症疾患患者における術中覚醒の発生率の低下と関連して

・大手術中、特に全静脈麻酔(TIVA)か、または気管挿管による全身麻酔(ETGA)で、重症患者に術中覚醒の発生率増加が報告された。しかしながら、手術中の一般的に健康で非重症疾患患者で、術中覚醒の発生率や、麻酔法が発生率及ぼす効果については、まだ十分な注目がなされていない。

・2009 年 1 月から 2014 年 12 月にかけて、この後ろ向き的マッチド症例対照研究が実施された。本研究期間中に術中覚醒を報告した手術患者(ASA PS I-III)にインタビューし、診療録をレビューした。術中覚醒の潜在的危険因子を、データベースから無作為に選択された非症例対照患者群と比較した。合計 61436 人の患者が含まれ、16 人の明確な術中覚醒が確認された。ETGA と TIVA を受けた患者は、ラリンジアルマスク(LMA)を用いて麻酔した患者と比較して、術中覚醒を発症した頻度が有意に高かった(P=0.03)。相応した対照(n=80)と比較して、長時間麻酔は、術中覚醒の発生率増加と関連していた(オッズ比 2.04; 95%CI 1.30-3.20、1 時間当たりの増加)。筋弛緩薬の術中使用もまた術中覚醒発生率の増加と関連していたが、揮発性麻酔薬で麻酔された患者では術中覚醒の発生頻度が有意に低かった。

・全身麻酔を受けた ASA≦III の手術患者では、術中覚醒の総発生率は 0.023% であった。自発呼吸下でラリンジアルマスクを用い、揮発性麻酔薬を使用した麻酔は、術中覚醒のリスクを低下させるために、一般的に健康な患者には好ましい麻酔法である。

[!]:全静脈麻酔は、麻酔薬の持続注入を障害する要因がいろいろとある。筋弛緩薬が持続投与されていると意識の出現を体動で気付くことができない。術中覚醒の危険性は、薬が入っていなくても体動が見られないので全静脈麻酔と筋弛緩薬の併用時に最大になるだろう。

【出典】
Inhalation of volatile anesthetics via a laryngeal mask is associated with lower incidence of intraoperative awareness in non-critically ill patients.
PLoS One. 2017 Oct 26;12(10):e0186337. doi: 10.1371/journal.pone.0186337. eCollection 2017

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