Q:McGrath の進化とは?

ビデオ喉頭鏡関連の文献で、しばしば McGrath も登場するが、McGrath には、挿入方法からして異なる「McGrath series 5」と、「McGrath MAC」の 2 種類が存在し、文献上にもそのいずれについての研究であるかが明記されていないことも多いので、ここで McGrath の進化について書いておく。

McGrath series 5(英国エジンバラのエアクラフトメディカルリミテッド)は、2008 年に臨床診療に導入されたポータブルビデオ喉頭鏡だ。重量はわずか 325g で、本体は、光源と小型カメラを合体させた CameraStick とハンドル、そしてハンドル上部に取り付けられた 1.7 インチの液晶ディスプレイから成る。

ブレードは先端が強湾曲で、マッキントッシュのように舌など軟部組織を避けることはせずに、口の中央から舌上面に沿って進めていく。ブレードサイズは、1 サイズしかないが、ブレード位置を 3 段階に調整することによリブレード長を変更できるので 5 歳の小児から大きな成人まで対応できる。マッキントッシュブレードの 3~5 相当とされている。

強湾曲のブレードが採用されているために、通常はスタイレットの併用が推奨されており、気管チューブにはタイレットを挿入して、あらかじめビデオ喉頭鏡とブレードの形状に合わせて、気管チューブを整形しておく必要がある。液晶画面は水平面と垂直面で 90 度前後・上下に回転でき、操作者が見易い角度の自由に調整できる。ブレードはディスポーザブルで、ハンドルは完全に浸水できるので、容易に感染防御が可能である。

エアクラフトメディカルは、2010 年に McGrath series 5 さらに進化させて、新しいモデルを市場投入した。これが、McGrath MAC で、名称の「MAC」は、 Macintosh 型のブレードを採用したモデルであることを示している。本体の重量は、わずか 200g と極軽量で、さらに全体にコンパクトさが押し進められている。液晶モニターは、1.7 インチから 2.5 インチの縦長のスクリーン表示となり、いわゆる「ブラインド・スポット」を減少させることができる。液晶画面は前後方向に 30 度程度チルト可能である。

ブレードの形状は、Macintosh に似ており、McGrath Series 5 と比較して、それほど強い湾曲がなく、舌を含む軟部組織を左側に避けることができる構造になっている。ブレード・サイズは、2、3、4 の 3 サイズが提供される。ブレードの最大の厚みは、13mm から 11.9mm とわずかながら薄くなっており、開口障害の強い場合にも配慮されている。CameraStick だけを見ると、Macintosh ブレードよりも湾曲が強く見えるが、MAC ディスポーザブルブレードを装着した時には、その湾曲度はほとんど Macintosh ブレードと同じである。 したがって、スタイレットは必ずしも必要ではない。

McGrath MAC の標準的な挿入方法は、古典的な Macintosh 直接喉頭鏡と同じで、舌を左側に避けながら挿入していく。ブレード先端を喉頭蓋谷に位置させて、軽く前上方に引き上げる。直視下で、声門が確認できれば、そのまま直接喉頭鏡の場合と同様に、気管チューブを声門に向けて挿入すればよい。声門が視認しずらければ、スクリーン上に声門を確認して、直視下に気管チューブを口腔内に挿入して、スクリーン上で、気管チューブの先端を確認しながら、声門に挿入されるように誘導する。

McGrath MAC は、液晶モニターの存在を無視すれば、Macintosh 直接喉頭鏡としても使用できる構造である。McGrath series 5 は、あくまでビデオ喉頭鏡(VL)であるが、McGrath MAC は、ビデオ喉頭鏡であると同時に直接喉頭鏡(VL & DL)としても機能しうる。この点が、McGrath series 5 とは大きく異なる点である。

この series 5 から MAC への進化は、いわば、肺呼吸しかできなかった人間が、鰓呼吸も可能になったのに等しいのではないだろうか。あるいは、陸上しか走行できなかった自動車が、同時に川や海でも航行できる水陸両用車に改造されたのに等しい。

新しいデバイスが導入される場合、今まで使用していた機器についての教育や経験をそのまま生かすことができるというのは、非常に大きな利点である。McGrath series 5 は、携帯性に優れており、ビデオ喉頭鏡としてそれなりの性能を発揮できるものであったが、直接喉頭鏡とは異なる挿入のお作法を覚える必要があった。オリンパスのエアウェイスコープもしかりである。

これに対して、McGrath MAC は、これまでの直接喉頭鏡と同じように使用でき、なおかつ、ビデオ喉頭鏡として機能するという点で、気管挿管の熟練者にも初心者に広く受け入れやすい器具に仕上がっている。さらに、2013 年には、強湾曲の「X-blade」も使用できるようになり、挿管困難に対しての防御力が高められている。

なお、「X-blade」を使用した場合は、series 5 と同様の正中アプローチでの挿入が必要で、スタイレットが必須となる。

画像

McGrath MAC カタログ

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