Q:ビデオ喉頭鏡とは?

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直接喉頭鏡を使用して声門を直視するには、視点が口腔外にあるために、口腔軸、咽頭軸、喉頭軸がほぼ一直線になっていなくてはならない。

そのためには、通常、対象者の頭頸部をいわゆる「スニッフィング・ポジション」にする必要がある。頭の下に枕を置いて頭部を拳上し、下位頸椎を前屈することにより、咽頭軸と喉頭軸をほぼ一直線とし、さらに下顎を突き出して、上位頸椎(環椎軸椎関節)を伸展させることにより、口腔軸が咽頭軸・喉頭軸と成す角度を小さくするのである。

さらに、最大開口位とした上で、喉頭鏡のブレードを使用して、舌を含む軟部組織を左側に圧排して、視線とチューブを誘導するためのスペースを作る必要がある。

しかし、適切なスニッフィング・ポジションを取って、最大開口させて、舌を十分に左側に圧排しても、声門が通常よりも前方に位置していて、喉頭蓋は視認できても声門がまったく見えない、つまり、Cormack-Lehane 分類 Ⅲ 度(1.2-1.6%)のこともあれば、喉頭蓋さえ視認できない(Cormack-Lehane 分類 Ⅳ)ことも稀にある。

また、頸椎の可動性に制限があり、十分に上位頸椎を後屈できなかったり、頸髄損傷のために頸椎を後屈したくない場合もある。開口が不十分で、喉頭鏡のブレードは挿入できるが、上顎門歯が視野の障害となって、声門を視野に入れることができない場合もある。

そもそも神様は、人間の頸部の構造を、口腔外から中を覗いて、声門が直視できるようには作ってくれていない。

直接喉頭鏡を使用して気管挿管を行う場合には、声門がどの程度視認できるかが、挿管の成否と密接な相関関係があり、喉頭が十分に視認できない場合(Cormack-Lehane 分類 Ⅲ/Ⅳ 度)、挿管は極めて困難となる。

これに対して、ビデオ喉頭鏡では、喉頭鏡ブレードの先端からブレード長の 1/3~1/4 近位に CCD カメラなどの間接視野を得るための代替眼球が付いており、声門を含む喉頭を口腔内から観察した視野を、モニタースクリーン上に映像化して、間接視することができるようになっている。

そのため、直接喉頭鏡では喉頭を視野に入れることが困難な症例でも、ビデオ喉頭鏡を使用すれば、声門を視覚化できる可能性が非常に高く、Cormack-Lehane 分類を数レベル改善することができる。とくに、頸椎の可動性に制限がある場合や、ある程度の開口障害がある場合には、ビデオ喉頭鏡が非常に有用となる。

ビデオ喉頭鏡を使用して声門を観察するだけであれば、対象患者の頭頸部を、必ずしも「スニッフィング・ポジション」にする必要はないし、また最大開口位にする必要もない。これは、対象者の頸椎や顎関節に余分なストレスを与えなくても済むことから、気管挿管に伴う頸椎と顎関節への負担を軽くすることができる可能性がある。

ビデオ喉頭鏡は、正常気道と困難気道の両方で従来の直節喉頭鏡よりも初回挿管の成功率などの成績が優れており、挿管困難が予想される患者だけでなく、すべての挿管症例で使用されることが望ましく、将来的には気管挿管のための標準的な器具となるだろう。

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