Q:ビデオ喉頭鏡にはどんな種類があるのか?

「直接喉頭鏡」という言葉がほぼ 1 つの概念を提供するのに対して、「ビデオ喉頭鏡」は、その種類が多くあり、同じ言葉を使用しても、必ずしもみな同じ概念を抱くとは限らない。「ビデオ喉頭鏡」とか「間接喉頭鏡」という言葉で一括りにされてしまいがちであるが、実際には、その機種ごとに、直接喉頭鏡と同じくらいに、利点と欠点を有している。

ビデオ喉頭鏡(VL)は、そのブレードの形状から大きく 3 つに分類することができる。VL を、そのブレードの形状から分類するのは、ブレードの形状が異なれば、ブレードの挿入方法と、その後のチューブの挿入方法など、喉頭鏡自体と気管チューブ挿入の双方の操作法が異なるため、喉頭鏡の使い勝手全般が大きく異なるからである。

したがって、ブレードの形状による分類は、すなわち、操作方法(「お作法」)からの分類ということになる。

【1】 マッキントッシュ型ブレードを採用した VL
(1) V-MAC、C-MAC、C-MAC PM
(2) McGRATH MAC

<操作法>
・通常のマッキントッシュ直接喉頭鏡と同じように、口腔内を確認しながら、右口角から舌を左に避けながらブレードを挿入していく。
・喉頭蓋や声門が直視できなくても、モニターで喉頭蓋が間接視可能となったら、モニターを見ながらブレードの先端を喉頭蓋谷に進めて喉頭展開を行ってゆく。
・声門がモニター上方 1/3 辺りに間接視できるようになったら、喉頭鏡の位置をそのまま保持して、気管チューブを口腔内を確認しながら挿入していく。
・チューブ先端がモニター上で確認できるようになったら、モニターを見ながらチューブ先端を声門に誘導して、そのままチューブを気管に挿入する。

■ 他の VL に比較した利点
・ブレードとチューブの挿入に関して、新しい別の方法、お作法を覚える必要がない。
・したがって、気管挿管の初心者だけではなく、熟練者にとっても導入のハードルが低い。
・直接喉頭鏡(DL)としても使用できるので、直接喉頭鏡を使用するためのスキルを維持することができる。
・VL & DL なので、直接<=>間接を変更する場合には、挿入し直す必要がない。したがって、患者への負担も少なくなる。
・スタイレットやブジーなどの挿管補助用具を使用しなくても済むことが多い。

■ 欠点
・喉頭が通常よりも腹側に位置している症例では、やはり声門視野が得にくい場合がある。そのような場合のために、C-MAC には「D-blade」、McGRATH MAC には、「X-blade」が用意されている。

【2】 強湾曲ブレードを採用した VL
(1) グライドスコープ
(2) McGRATH series 5
(3) C-MAC の「D-blade」
(4) McGRATH MAC の「X-blade」

<操作法>
グライドスコープの使用説明書には「4 ステップテクニック」と呼ばれるを方法が紹介されている。

1. 患者の口腔内を見ながら:ビデオ喉頭鏡を左手に持ち、咽頭口部正中線に挿入する。
2. 画面を見て:喉頭蓋を確認し、次にブレードを操作して声門がよく見えるようにする。
3. 患者の口腔内を見ながら:チューブの先端を喉頭鏡の先端に近い位置まで慎重にガイドする。
4. 画面を見て:必要に応じて回転させたり角度を付けたりして、方向を変えながら気管挿管を完了する。

■ 他の VL に比較した利点
・強湾曲であることから、喉頭が前方に位置していても声門を確認できることが多い。

■ 欠点
・スタイレットを使用して、チューブがブレードと同様の形状とによるように形成する必要である。
・スタイレットの使用が必須であることと、ブラインド・スポットが存在するため、時として軟部組織損傷の合併症をきたすことがある。
・直接喉頭鏡としては利用できない。


【3】 上気道解剖を模した L 字型ブレードとチューブガイド溝を採用した VL
(1) エアウェイスコープ
(2) エアトラック

<操作法>
いずれの器具も
① Insertion:口腔内への挿入
② Rotation:引き起こし動作
③ Elevation:喉頭蓋挙上
④ Intubation:挿管操作
という4つの過程を経る共通点を有するが、同様のブレード形状を有していながら、その標準的な挿入方法は、若干異なっている。エアウェイスコープでは、ブレード先端を硬口蓋に沿って気道後面に進め、喉頭蓋ごと持ち上げる。これに対して、エアトラックは、ブレードを舌面に沿って気道前面に進め、喉頭蓋谷に位置させる。エアウェスコープと同様にブレードで喉頭蓋を持ち上げることも代替法として許容される。

【エアウェイスコープの使用方法】

1.本体にイントロック(ディスポーザブルのブレード)、潤滑剤を塗付した気管チューブをセットする。
2. ブレード先端を硬口蓋に沿って、咽頭内を観察しながら進め、ブレード先端で喉頭蓋を持ち上げ、ターゲットマークを声門に合わせる。
3.イントロックのガイド溝がチューブを声門(ターゲット)へと誘導してくれる。
4.チューブのカフが声門を超えて十分な深さまで挿入できたら、ガイドからチューブを外しエアウェイスコープを抜き、挿管完了。

【エアトラックの使用方法】(添付文書より引用)
画像

1.エアトラックの挿入(図1)
1) 患者の口の正中線に沿って本品を挿入する。中咽頭に舌を押し込まない様、細心の注意を払う。
2) 正中線を保ちながら、本品を中咽頭まで挿入する。
3) 本品を前傾状態からゆっくりと舌根部に沿って垂直位になる様にしながら、咽頭内を進め、喉頭内を確認する。
4) 喉頭蓋を確認し、喉頭蓋谷に向かって更に本品を進め、喉頭蓋が視野画面の中央に見える様に調整する。その上で本品の先端を喉頭蓋谷にあてがい(もしくは、本品の先端を喉頭蓋下に持っていき)、垂直位を保ちながら、丁寧にゆっくりと本品を持ち上げ、視野画面の中央に声帯が見える様にする(Miller style)。
2.気管チューブの挿入(図2)
1) 本品を引き戻したり、進めたり、少し持ち上げたりして、声帯が視野画面の中央に見える様に微調整し、その状態を保持する。この操作が挿管を成功させる最も重要なポイントである。
2) 声帯が視野画面上中央に見える状態を保持しながら、気管チューブをチューブガイドから徐々に押し進め(必要に応じ、チューブガイド内で気管チューブを回転させる)、先端が声帯を通過し、更にカフが通過するのを確認する。次に気管チューブの深さを確認する。
3) 気管チューブを固定保持した状態で呼吸回路に接続し、カフを膨らませ、加圧してエアリークがないことを確認する。
3.エアトラックの抜去(図3)
1) 気管チューブを固定保持した状態で気管チューブを横方向に本品から外す。(潤滑剤が十分塗布されていないと、気管チューブが外れにくいことがある)
2) 本品を外す際には、気管チューブを確実に保持して行う。使用後、電池カバー下にあるスイッチを押しライトを消す。
3) 廃棄の際は、アイカップを本体から取り外した後、電池カバーを外し(両側の窪みに爪等をかける)、電池を抜き取る。

■ 他の VL に比較した利点
・sniffing position を取る必要はない。
・上気道解剖を模した L 字型ブレードを採用しているので、軟部組織の圧排が少ない。
・チューブガイド溝があるので、スタイレットは必要ない。

■ 欠点
・声門がターゲットに合っていても、チューブ先端がうまく声門に向かわないことがある。
・直接喉頭鏡としては利用できない。
・チューブガイド溝があるため、ブレード厚を薄くするのに限界がある。

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