SPI ガイドの鎮痛は、腹腔鏡下胆嚢摘出術に対する術中交感神経反応を鈍くする

・外科性有害刺激は、交感神経活動の増加を伴うストレス反応を生じ、潜在的に周術期転帰に影響を及ぼす。脈波プレチスモグラムに由来する Surgical Pleth Index(SPI)は、疼痛-抗侵害受容バランスを評価するためのツールとして提案されている。全身麻酔中の SPI と自律神経系(ANS)との関係はあまり理解されておらず、SPI をガイドとした鎮痛が標準的な臨床診療よりも利点を提供するかどうかは疑わしい。本研究は、SPI をガイドとした鎮痛が標準的な臨床診療と比較して交感神経変調を低下させるかどうかを評価するために計画された。

・腹腔鏡下胆嚢摘出術を受ける ASA I-II 患者に、心電図波、非観血的血圧、SPI を記録し、無作為化して SPI をガイドとした鎮痛か、または標準的鎮痛を受けた。血行動態パラメータ、SPI、心拍数の平均と分散、心拍変動の低(LF)および高周波数(HF)スペクトル成分を、4 つの時点で測定した:ベースライン(T0)、全身麻酔導入後(T1)、気腹後(T2)、気腹の解除後(T4)。

・SPI、血行動態、ANS パラメータは、研究期間中、両群で有意に変化した(P<0.0001)。T2 時点で SPI と交感神経変調のマーカーは SPI 群のほうが有意に低かった(平均[SD]SPI 38.1[15.3] vs 48.1[16.2]正規化単位、P<0.05; LF 38[8.6] vs 56.2[20.6]正規化単位、P<0.01; LF/HF 1.01[1.1] vs 2.68[2.07]、P<0.01)。レミフェンタニル消費量、麻酔からの回復時間、術後疼痛、合併症には差はなかった。

・SPI ガイド下鎮痛により、より安定した交感神経調節がもたらされたが、腹腔鏡下胆嚢摘出術に際しては、標準的な臨床診療よりも臨床的に有意な利点を提供していないようであった。

[キーメッセージ]
・気腹は、顕著な交感神経活性化を誘発するストレスのある刺激である。
・SPI<50 を目標として管理したオピオイド注入は、腹腔鏡下胆嚢摘出術中の交感神経反応を減少させる。
・SPI は、腹腔鏡手術の全身麻酔中の交感神経性調整の変化を反映すると思われる。
画像

[!]:ラパコレで SPI をガイドに術中鎮痛を行い、術中循環動態は安定したものの、臨床的な優位性はあまり確認できなかったと。しかし、「より安定した交感神経調節がもたらされた」ということこそ、麻酔の必要十分を満たせたという事なので、「臨床的に有意な利点を提供していないようであった。」というよりも、「より理想的な麻酔診療を提供することができた」とした方が適切かと。

【出典】
Surgical Pleth Index guided analgesia blunts the intraoperative sympathetic response to laparoscopic cholecystectomy.
Minerva Anestesiol. 2015 Aug;81(8):837-45. Epub 2014 Nov 6.

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック