Q:年齢補正 MAC とは?

A:50% のヒトが皮膚切開時に体動を示さない肺胞内における吸入麻酔薬濃度=最小肺胞濃度(minimum alveolar concentration:MAC)は、年齢ととも低下することはずっと以前から知られていた。

1996 年に、Mapleson は既存データのメタ分析を行って、
(1) 年齢(年齢≧1 歳)に対して MAC を片対数プロットすると、全ての吸入麻酔薬についてその関係は、線形、かつ平行であり、
(2)既存データは以下の等式で記述できることを見出した。

MACage=MAC40×10- 0:00269(age - 40)
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Mapleson WW. Effect of age on MAC in humans: a meta-analysis. Br J Anaesth. 1996 Feb;76(2):179-85.

この式は、ある年齢(age)のヒトの MAC(MACage)は、40 歳のヒトの MAC(MAC40)と年齢の関数として表現できることを表している。

その後 2003 年に、この関数を使用して、日常的に頻用されている揮発麻酔薬であるイソフルラン、セボフルラン、デスフルランについて、年齢補正 MAC を、亜酸化窒素を併用した場合にも容易に参照可能なように「年齢補正等 MAC チャート」が作成され、発表されている。
Nickalls RW, Mapleson WW. Age-related iso-MAC charts for isoflurane, sevoflurane and desflurane in man. Br J Anaesth. 2003 Aug;91(2):170-4.
イソフルラン、セボフルラン、デスフルランのヒトでの年齢を考慮した等MACチャート

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これらのチャートを麻酔器の傍らにぶら下げておけば、いつでも年齢補正 MAC で適切な麻酔深度での麻酔が可能になるという。

現代的な麻酔においては、亜酸化窒素を使用する機会は激減したし、硬膜外麻酔やフェンタニル、レミフェンタニルなどのオピオイドの使用によって十分な鎮痛が行われた場合には、通常 1 MAC 以下の維持濃度しか使用しない。また、導入覚醒の速度の速いセボフルランかデスフルランで維持することがほとんどであり、イソフルランを使用することも激減していると思われる。

そこで、Q:揮発麻酔薬の維持濃度はどうするか? で紹介した「揮発麻酔薬の推奨維持濃度を表す等式」を併記した、必要十分な情報に集約した、年齢補正した等 MAC チャートを作成してみた。
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