鎖骨上神経ブロックにおける 0.5% ブピバカインへの補助薬としてのデキスメデトミジンとフェンタニル

・上肢手術に際し、腕神経叢ブロックが日々人気を集めている。鎖骨上腕神経叢ブロックは、単独でまたは全身麻酔との併用で外科手術麻酔に使用される可能性がある。著者らは、上肢手術に際し超音波ガイド下鎖骨上神経ブロック時に、ブピバカインへの補助薬としてのデキスメデトミジンとフェンタニルが、ブロックと術後鎮痛の発現と持続時間に及ぼす効果を比較するつもりであった。

・この試験デザインは、前向き無作為化対照二重盲式臨床試験であった。ASA-PS I/II、年齢 18-50 歳、上肢手術を予定された 60人の患者を、各群 20 人の患者を含む 3 研究群に無作為に分けた:C 群:0.5mL/kg 最大 40mLの容量まで。ブピバカインの用量は 1.5mg/kg であった。D 群:対照群と同じブピバカイン+1μg/kg デキスメデトミジン。F 群:対照群と同じブピバカイン+1μg/kg フェンタニル。知覚と運動遮断の発現と持続期間、鎮痛持続時間、術後疼痛、有害作用について患者を観察した。統計解析は、一元配置 ANOVA 検定とχ二乗検定を使用した。

・D 群(P<0.001)と F 群(P<0.001)では、知覚と運動遮断の発現時間が短縮され、ブロックの持続時間が有意に延長した。術後鎮痛の持続時間も、F 群の 8.3 時間、C 群の 7.5 時間と比較して、D 群の方が 13.5 時間と長かった。D 群の 2 例に低血圧と徐脈が記録され、F 群に悪心と嘔吐が記録された。

・デキスメデトミジンの添加は、上肢手術を受ける患者に重大な悪影響を及ぼすことなく、鎖骨上腕神経叢ブロックの持続時間の延長と術後鎮痛の改善において、フェンタニル、およびブピバカイン単独よりも良好であった。

[!]:原文中には、「1 mg/kg dexmedetomidine」とありますが、「1μg/kg デキスメデトミジン」と訂正しています。

【出典】
Dexmedetomidine and Fentanyl as an Adjunct to Bupivacaine 0.5% in Supraclavicular Nerve Block: A Randomized Controlled Study.
Anesth Essays Res 2018;12:475-9

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この記事へのコメント

ナマステ
2018年08月02日 08:09
いつも楽しく拝見しています。
さて、末梢神経ブロックでステロイド添加で作用時間延長というのは過去何度もありました、こちらはなんとなく理解できますが、、ここ最近、デクスメデトミジン添加で作用時間延長が少しずつ出てきましたが、一体どういう機序なのでしょうか?
SRHAD-KNIGHT
2018年08月02日 10:02
ナマステ様、コメントありがとうございます。
大雑把にいって、オピオイドなど神経系に作用する薬物は、必ずしも中枢神経系だけではなく、末梢神経にも同様に作用するのではないか、言い換えると、オピオイド受容体やカテコラミン受容体(α2A受容体を含む)などの痛覚伝達に関与する受容体は、脊髄や脳といった中枢神経系だけに存在するのではなく、密ではなくても末梢神経系にも存在するのではないかと考えています。「中枢神経」だの「末梢神経」だのと分類して考えているのは、単に人間が後から分析して分類したにすぎませんから。解剖学や生理学を紐解いても、こうした点についてははっきり書いてある文献は見たことがありませんが、例えば、局所静脈内麻酔でフェンタニルを静脈内注入すると鎮痛効果がある、というのがその理論的根拠です。とは言いながら、単に局所投与した薬剤が次第に吸収されて全身性に作用しているだけかもしれませんが。でもそうならば、局所投与と全身投与で、差があるかどうかをスタディすれば、明らかになってくるのではないでしょうか。

ナマステ
2018年08月03日 08:06
返信ありがとうございます。末梢神経にも受容体があるのであれば、(末梢)神経の興奮(電気活動)を鎮静(抑制)するというように考えれば、中枢神経も末梢神経も同様ではなかろうかと言うことですね。
後者の全身性の作用であれば投与経路が違うだけで、あまり面白みがなくなってしまいますね。

また疑問点はコメントに質問することもあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

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