麻酔器用『ケーブルガード』の製作

麻酔器のキャスターがケーブルを踏んでしまって、麻酔器が動かなくなるのを防止するために、キャスターに装着する筒状のケーブルガードが各社から販売されている。

「キャスターガード」(GE Healthcare)、「ケーブルカラマン」(スガツネ工業)、「フットフィット」(アコマ)などという名称で市販されているようだが、どれも機能はほぼ同じだ。麻酔器のキャスターを円柱状のもので囲っておき、麻酔器のキャスターと同時に動いて、周囲のケーブルを押しのけてくれる。ワンタッチで着脱可能。

ケーブルガードを使用しない場合、麻酔器のキャスターが床を這っているケーブルを踏んでしまって麻酔器が動かなくなるだけでなく、麻酔器を無理に動かそうとして、頻回にケーブルを踏みつけていると、麻酔器周りの重要な医療機器のケーブル自体が断線してしまう恐れも出てくる。
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【キャスターガード】
希望小売価格: \51,840(税抜:\48,000)

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【ケーブルカラマン】
¥61,000/1セット4ヶ入り

できれば、麻酔器には是非とも装備したいアイテムのひとつである。いちばん最近購入した麻酔器には、初めから、ケーブルガードを装備してくれていた。実際に使用してみると、麻酔器を移動する際には非常に快適である。

他の麻酔器用にも購入したいと思って調べてみたが、とにかく高額だ。いくら医療用で需要が少なく、大量生産できるものではないとしても、1個当たり 12000~15000 円、麻酔器1台当たり 5~6 万円もする。手術室の全室に装備しようとするとケーブルガードだけで 数十万円もかかる。

そこで、自作に取り組んだ。

(1) 直径 15cm 程度の円柱
円柱状のもので、直径は 15cm 程度は必要だ。まず、目を付けたのは、水道管に使用するような塩ビのパイプだ。塩ビ管には VU 管と VP 管があり、VP 管の方が肉厚で、一般的に圧力用「上農水道埋設用・建築給水用」に使用されるそうだ。ケーブルガードとして機能するためには、ケーブルと接触した時に浮き上がってしまうようでは役に立たないので、ある程度の重さがなくてはならない。したがって、VU 管よりも VP 管の方が良さそうだ。

ホームセンターに行けば、電動ノコギリなども利用できるだろうから、VP 管を適当な長さ(10~15cm位)に切断すれば使用できるのではないかと考えた。

(2) 着脱を容易にするために縦に割る
しかし、単なる「背の低い円柱」では、装着することが非常に困難だ。現在、ヒトに対して使用している麻酔器は非常に重いため、何人もの男が力を合わせないと宙に浮かせることは困難だからだ。また、麻酔器の故障などで修理が必要な場合には、簡単に取り外すこともできた方が良い。

ということで、適当な長さに切断した VP 管をさらに「縦割りにすればよい」のでは?と考えた。

(3) ガムテープで接着する
VP 管の円柱を真ん中で割って半円柱形にして、キャスターを両側から挟み込んでから、ガムテープでくっつければ、とりあえず機能するのではないか。

適当な材料がないか、ネットで検索していると、「ワークパーツ」という会社が、VP 管を縦半分にカットしたものを、指定した長さに切断して販売してくれているのを発見した!「これだ~!」
 ● ネット通販:VP管 (VPパイプ) 半割り カット販売

さっそく、麻酔器1台分の材料として、長さを 145mm と 80mm の 2 種類
「VP管 半割り 径150×145mm」669円 数量:4
「VP管 半割り 径150×80mm」540円 数量:4
を注文した。

商品合計(2点)4,836円 送料 1,200円 合計金額(税込) 6,036円

長さの異なる 2 種類を注文したのは、麻酔器によって、キャスタにストッパーが付いている場合と、付いていない場合があり、ストッパー付きののキャスターには、短いものを使用しなくてはならないことに気が付いたからだ。
ストッパー付きのキャスターには、80mm 長のパイプを、ストッパーの付いていないキャスターには、145mm 長のパイプを使用することにした。

単に、縦割りにした塩ビパイプをガムテープで結合させただけでも、機能的には問題ないだろうが、見た目が今一つだ。そこで、飾りと接合部の補強の目的で、パイプ表面に両面テープを使って、適当なサイズに裁断した波型クッション材を貼り付けることにした。
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商品名 : コーナンオリジナル 波型クッション室内用 ライトグレー
約厚9mm×幅60cm×長さ90cm (安全用品・養生) 販売価格 : ¥1,480(+税)


<自作ケーブルガードの材料>
1.「VP管 半割り」×2
  ケーブルガードを装着したい麻酔器のキャスターのサイズ(直径)に合った VP 管
  当院の場合は、直径 150mm、長さは 145mm、あるいは 80mm
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2.波型クッション材
  これはあってもなくてもよい。単なる飾りと補強用。上述したクッション材を以下のサイズにカッターで裁断した。
 (1) 幅 45cm ×高さ 140mm (145mm 長のパイプ用)
 (2) 幅 45cm ×高さ 75mm (80mm 長のパイプ用)
  ※ 床側に 5mm 程度のわずかな隙間を設けるため。
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3、やや厚めの両面テープ
  何でもよいと思うが、今回は「多用途厚手両面テープ 幅 25mm」を使用した。
4.布タイプのガムテープ
  今回は、幅 50mm で、パイプやクッション材とカラーコーディネートするためにカラーはグレーのものを使用した。
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<ケーブルガードの作成法>

(1) 縦割りの塩ビパイプを円柱状に接合させて、片側の接合部を布テープで接着する。
(2) 対側の接合部に 5cm 程度の隙間ができるように、波型クッション材をパイプ上端に合わせて両面テープで貼り付ける。
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(3) 実際に麻酔器のキャスターに装着して、 接合部を布テープで接着する。
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ケーブルガードを外す時は、布テープを剥がして「ハ」の字型に開いて外す。

<自作ケーブルガードのメリット>
1.市販品に比べると圧倒的に安価である。麻酔器 1 台当たり 5000 円程度で、約 1/10 だ。
2.VP 管の直径サイズ(30mm~300mm の 10 サイズがある)の種類だけ、さまざまな径のものが作成できる。市販品は 3 種類とかサイズが限定される。
3.高さも画一的でなく、使用するキャスター毎に変えることができる。市販品は、高さが固定されている。

<自作ケーブルガードのデメリット>
1.ケーブルを押しのける性能は市販品に比べるとやや劣るかもしれない。
2.装着・脱着は市販品ほどにはシンプルではないが、それほど手間でもない。布テープされあればよい。

そもそもは、麻酔診療にパートで訪れていた F 先生が、「大学病院の麻酔器には、ケーブルを踏まないようにガードが付いているよ。この病院ではいろいろ工夫しているから、簡単に作れるんじゃない?」と数年前に言っていたことだ。それがきっかけで、それ以降、簡単に安価に作成できないかなと考え続けていたが、やっと実現できた。

材料の調達には数日を要したが、材料さえあれば、麻酔器 1 台分の作成時間は 20 分程度、麻酔器に装着して合計 30 分程度で完了した。私の勤めているような貧乏な病院で、ケーブルガードを装備していない麻酔器があれば、自作してみてはいかがだろうか。特殊な技術とかは全く不要で、カッターとハサミ、それに 50 cm 程度の長い定規があれば、誰でも簡単に作成できますよ!

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