ビーチチェア体位での肩手術中の脳酸素飽和度低下事象の危険因子

・本研究の目的は 2 つであった:(1)患者のリスク層別化、正常血圧を維持する麻酔、段階的な患者の体位取り、からなる包括的な手術麻酔プロトコール実施後の脳酸素飽和度低下事象(CDE)の危険因子を調査すること、(2)認知テストによって術中虚血性事象に関連する無症候性神経学的機能低下を評価すること。

・ビーチチェア体位で肩手術を受ける 100 人の患者が、Framingham 脳梗塞基準、肥満指数(BMI)、脳血管障害の病歴に基づいて CDE のリスクについて層別化された。脳酸素飽和度を近赤外分光法でモニターした。標準化プロトコルに従って、平均動脈圧は 70~90 mmHg に維持された。頭部を 3 分あけて 2 段階で挙上した。CDE は、ベースラインから 20% 以上の低下、または絶対酸素濃度 55% 以下として定義した。患者は術前検査中および最初の術後外来受診時に Mini-Mental State 検査を完了した。

・CDE 率は全体で 4%、全身麻酔を受けた患者では、4.3% であった。45 人の患者が高リスクのカテゴリーにあり、全ての CDE がその群で発生した。全身麻酔を受けた Framingham スコア≧10、または BMI≧35 の患者では、CDE のリスクが高かった(P=0.04)。術前と術後の受診間で、Mini-Mental State 検査スコアに有意な変化は見られなかった。CDE と糖尿病、喫煙、心血管疾患、左心室肥大の病歴との間に相関は示されなかった。

・おそらく、リスク層別化、段階的体位取り、正常血圧維持麻酔をしたために、著者らが観察した CDE 率は以前に報告された率よりも低かった。Framingham スコア≧10 と BMI≧35 は、ビーチチェア体位における CDE の危険因子である。

[!]:フラミンガムスコアとは、年齢、性別、総コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、収縮期血圧、喫煙の有無からリスクスコア合計を求め、相当する心血管 10 年リスクを評価するもの。

【出典】
Risk Factors for Cerebral Desaturation Events During Shoulder Surgery in the Beach Chair Position.
Arthroscopy. 2019 Feb 4. pii: S0749-8063(18)31007-7. doi: 10.1016/j.arthro.2018.10.123. [Epub ahead of print]

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