脊椎麻酔下の帝王切開時の悪心嘔吐予防のためのクモ膜下フェンタニルとミダゾラムの比較

・嘔気嘔吐は、脊椎麻酔下の帝王切開術における「大きな問題」として残っている。脊椎麻酔における術中と術直後の悪心嘔吐の発生率は高い。それは身体的にも精神的にも患者を苦しめ、外科医や麻酔科医を悩ませている。本研究の目的は、脊椎麻酔下に帝王切開を受ける妊婦で悪心嘔吐の予防に及ぼすクモ膜下フェンタニルとミダゾラムの臨床的有効性を比較することであった。

・本前向き無作為化二重盲式試験は、脊椎麻酔下に待機的帝王切開術を受ける予定の年齢 18~31 歳までの 90 人の女性(ASAーPS I)で行われた。被験者は無作為に同数 3 群に分けられた。クモ膜下 0.5% ブピバカイン 2mL に加えて、A 群では生食 0.5ml を、B 群ではミダゾラム 2mg を、そして C 群ではフェンタニル 12.5μg を投与された。嘔気嘔吐はベルビルスコアに従って評価された。データの統計分析は、SPSS 評価バージョン 20 を使用して行われた。結果は平均値、標準偏差、範囲値として表された。頻度は回数と割合で表した。ANOVA を多重群比較に使用し、分類データをχ二乗検定により分析した。

・プラセボ群では 30 人中 24 人の被検者が術中と術後早期に悪心嘔吐をきたしたのに対して、ミダゾラム群では 11 人、フェンタニル群では 8 人であった。術中と術後早期の悪心嘔吐の発生率は、プラセボで 79.5%、ミダゾラムで 36.6%、フェンタニルで 26.6% であった。

・帝王切開に際してブピバカインを投与した場合、クモ膜下フェンタニル 12.5μg、またはミダゾラム 2mg のいずれもが、悪心嘔吐の発生率および重症度を低下させる。

[!]:脊椎麻酔に使用したブピバカイン用量は同じでも、フェンタニルやミダゾラムをクモ膜下に併用した方が悪心嘔吐の頻度が少ない。なぜなんだろう。悪心嘔吐はてっきり低血圧→脳血流低下、脳圧の変化によるものだと思っていたのだが。

【出典】
Comparison of intrathecal fentanyl and midazolam for prevention of nausea-vomiting during cesarean section under spinal anesthesia
Anaesth Pain & Intensive Care 2015;18(2):124-29

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この記事へのコメント

silkhat
2019年03月21日 21:41
お疲れ様です、いつも勉強させて頂いております。この場合の悪心嘔吐って、スパイナルで血圧が下がった時に出るアレじゃなくて、娩出後・閉腹前の内臓牽引等で起こるヤツでは無いかなと感じました。フェンタニルは少量でも内臓痛よく抑えますし、その機序かなーと。
自身の経験でもマーカイン単独でやってた頃に比べて娩出後の悪心嘔吐は凄く減ったなと思います。
ミダゾラムは勉強不足で分かりません。
SRHAD-KNIGHT
2019年03月22日 06:30
silkhat 様、コメントありがとうございます。
> 娩出後・閉腹前の内臓牽引等で起こるヤツでは無いかなと感じました。
なるほどですね、脊椎麻酔後直後のではなくてですね。
ありがとうございます、合点がいきました。

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