Q:血小板凝集能のモニタリングとは?

A:近年、心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈血栓症などの予防や治療目的で、術前に血小板凝集抑制剤(抗血小板薬)を内服している患者が増加している。術前に中止するべきか、それとも続行するべきかが問題となる。

抗血小板薬を内服していても、その薬効がどれほどあるのかモニタリングされていない場合も多く、内服中に脳出血などの出血性合併症をきたしている患者も多くいるようだ。逆に、術前だからと言って、一律に中止されて、術後に脳梗塞など重篤な合併症をきたす場合もしばしば経験するところである。

このような抗血小板剤の内服や中止に伴う合併症を減少させるためにも、血小板凝集能などのモニタリングにより抗血小板薬投与量の調節を行うべきである。

<血小板凝集のメカニズム>
血小板の凝集反応は「一次凝集」と「二次凝集」に分けられる。通常の血小板凝集は、血管壁損傷部に出現したコラーゲンに血小板が粘着・凝集する(一次凝集)ことにより開始され、次いで、この血小板より放出される ADP、エピネフリンなどが、血小板の凝集がさらに促進される(二次凝集)。一次凝集は可逆的であるが、二次凝集は不可逆的であるとされている。

<血小板凝集能検査>
血小板凝集能検査は血小板の機能を評価する方法で、血小板無力症、Bernard-Soulier 症候群で低下し、糖尿病、狭心症などの血栓形成疾患で亢進する。また、血栓形成疾患の予防や治療の指標として重要な検査項目である。

抗血小板剤として頻用されている薬剤としては、アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、チクロピジン(パナルジン)が挙げられる。

アスピリンは、血小板凝集過程のうち一次凝集に関連するコラーゲンによる凝集を抑制する薬物であり、クロピドグレルとチクロピジンは、二次凝集に関連する ADP による凝集を抑制する薬物である。

したがって、アスピリンによる抗血小板作用をモニタリングする場合には、血小板凝集能のうち凝集惹起物質としてコラーゲンを使用したコラーゲン凝集能を、クロピドグレルとチクロピジンの場合には、凝集惹起物質として ADP を使用した ADP 凝集能を検査する必要がある。

画像
画像


このようなモニタリングによって、効果が強すぎる場合には、薬用量を減量し、効果が弱すぎる場合には増量するべきなのである。術前に、血小板凝集能検査を行う場合、十分な休薬期間をおいたつもりでも、検査で凝集能が十分に回復していない場合は、手術は延期するべきである。

また、内服中であっても、凝集能が亢進していると判断される場合には、術前であっても必ずしも休薬の必要はなく、休薬することによって脳梗塞や心筋梗塞の危険性を高めてしまう可能性がある。

なお、広く使用されているであろう「血小板凝集能測定装置 PRP313M 」という検査機器では、凝集惹起物質 4 濃度による凝集反応曲線をグレーディングカーブに変換することにより、血小板の凝集状態を「+3(強度の亢進)~ -2(強度の低下)の 6 タイプに分類表現し判定することが可能となっている。
画像

画像


当院では、経験的に、G-type= -2 では可能であれば手術を延期、脊柱管麻酔は避けるようにしている。手術が延期できない場合には、濃厚血小板輸注を考慮するようにしている。

<参考文献>
抗血小板療法のモニタリングと薬剤抵抗性

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック