《レビュー》 トラネキサム酸と全人工股関節置換術

THR.pngこれまで当ブログで紹介した記事から、全人工股関節置換術とトラネキサム酸に関連した文献をまとめて紹介する。

米国の THA/TKA を受ける患者におけるトラネキサム酸使用と術後転帰; 有効性と安全性の後ろ向
米国の病院 510 施設で、人工股関節または膝関節置換術を受けた 872416 人の患者を対象とした。トラネキサム酸非投与群に比べて、トラネキサム酸投与群は、輸血(7.7% vs 20.1%)、血栓塞栓合併症(0.6% vs 0.8%)、急性腎障害(1.2% vs 1.6%)、合併症複合(1.9% vs 2.6%)の割合が少なかった(全て P<0.01)。

股関節置換手術で総出血量を低減するためにトラネキサム酸をプラセボと比較: 無作為化臨床試験
全人工股関節置換術を受ける 108 人の患者を無作為に 3 群に分けた:単回投与群(手術開始前にトラネキサム酸 15mg/kg、手術開始 3 時間後生食)、2 用量群(手術開始前にトラネキサム酸 10mg/kg、手術開始 3 時間後に 10mg/kgA)、対照群(手術開始前と 3 時間後に生食)。2 日目までの総出血量は、単回投与、2 回投与群、対照群で、それぞれ、1377±689、1308±641、2215±1136mL であった(プラセボ群と実験群との間で、P<0.001)。輸血は、単回投与群で患者の 22.9 %(n=8)に、2 回投与群では 11.1%(n=4)、対照群では 37.8%(n=14)に投与された(P=0.028)。

全股関節置換術に際し低血圧硬膜外と全身麻酔併用下の術後出血量減少に及ぼすトラネキサム酸の効果
全身麻酔と低血圧硬麻下に全股関節置換術を受ける患者 68 人を対象として、トラネキサム酸群では、執刀前にトラネキサム酸 15mg/kg をボーラス投与され、引き続き皮膚閉鎖まで 15mg/kg を持続投与した。術中出血量については、群間に(251.8±109.9mL vs 234.9±93.9mL)有意差がなかったが、術後出血量(439.3±171. 6mL vs 1074.4±287.1mL)と累積総出血量(674.2±216.4mL vs 1326.2±347.8mL)はトラネキサム酸群の方が有意に少なかった。低血圧硬麻とトラネキサム酸投与の併用は、低血圧硬麻単独の場合よりも、術後および累積総出血量と輸血必要量を減少させた。

トラネキサム酸は、急性大腿骨頸部骨折に対する半/全股関節形成術において安全に出血量を減少させた
半/全股関節形成術を施行した患者 138 人を、TXA 群(69 例)か、プラセボ群(69 例)に無作為化。トラネキサム酸群では、15mg/kg を 10 分かけて、執刀直前と創部閉鎖時に 2 回投与した。トラネキサム酸群では平均輸血量が 305 mL(P=0.0005)だけ低下し、輸血割合の低下傾向がみられた(17% vs 26%、P=0.22)。30 日と 90 日での有害事象に差がなく安全であった。

人工股関節全置換術での血液凝固に及ぼすトラネキサム酸の効果:回転トロンボエラストグラフィ
トラネキサム酸と 6% ヒドロキシエチルデンプン(130/0.4)10~15 ml./kg を同時投与されている人工股関節全置換患者をトラネキサム酸群(n=29)か、対照群(n=26)に無作為化。トラネキサム酸群と対照群では、術後出血は、それぞれ、308mL(210-420)vs 488mL(375-620、P=0.002)、総出血量は 1168 mL(922-1470)vs 1563mL(1276-1708、P=0.003)であった。ヒドロキシエチルスターチによって悪化する術後線維素溶解は、10 mg/kg のトラネキサム酸の同時投与によって軽減し、術後出血が少なくなった可能性がある。

全股関節形成術におけるトラネキサム酸の 2 つの異なる処方の臨床的および機器による評価
人工股関節形成術を受ける 80 人の患者を 2 群に無作為化し、G10 群にはトラネキサム酸 10mg/kg を 2 回、G20 群には 20mg/kg を 2 回投与した。術後の Hbの平均最小値、平均出血量、副作用の発生に関して群間差はなかった。潜在的な血栓塞栓リスクを低減するために、10mg/kg を 2 回使用するのが適切であると考えられる。

初回股関節形成術における経口 vs 静脈内 vs 局所トラネキサム酸投与の比較
全人工股関節形成術患者 188 人を 3 群に無作為化し、経口群(術前 2 時間に トラネキサム酸 2g 経喉投与)か、静脈内群(執刀 5 分前に 20mg/kg 静脈内ボーラス投与)か、局所群(2g を局所に適用)に割り当てた。ヘモグロビンの平均減少は、経口、静脈内、局所群(それぞれ 3.48±1.32g/dL、3.58±1.07g/dL、3.66±1.26g/dL)で同様であった。同様に、平均総出血量量も 3 群間で有意差はなかった。執刀 2 時間前のトラネキサム酸 2g の経口投与が、もっとも費用効果比が高く、推奨できる。

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