《レビュー》 トラネキサム酸と痙攣発作

トラネキサム酸3.pngこれまで当ブログで紹介した記事から、痙攣発作とトラネキサム酸に関連した文献をまとめて紹介する。

心臓手術後の痙攣:トラネキサム酸とその他の危険因子の影響
痙攣発作は、患者 5,958 人のうち 56 人(0.94%)に発生した。トラネキサム酸の使用は、発作のリスク増加と関係していた(オッズ比 7.4、95%信頼区間2.8-19.3;P<0.001)。多変量ロジスティック回帰分析で、以下の要因が発作と有意に関係:トラネキサム酸使用;APACHE IIスコア>20;術前心停止;術前の神経学的疾患;心腔を開ける手術;心肺時間>150分;心臓手術の既往。発作は、術後の中央値 5.3 時間(四分位領域2.4-15.1時間)後に発生した。

トラネキサム酸と心臓術後の痙攣発作;11529 人の患者での多変量解析
人工心肺が使用された 11529 人の患者から前向きに収集されたデータを後ろ向きに多変量回帰分析を実施して術後痙攣発作の独立予測因子を同定した。合計 100 人(0.9 %)の患者が、術後痙攣発作をきたし、全身と焦点発作は、それぞれ、68 人と 32 人で、発症時間の中央値(IQR)は、それぞれ、7(6-12)時間と 8(6-11)時間であった。術後痙攣発作の独立予測因子は、年齢、女性ホルモン、心臓再手術、上行大動脈の石灰化、うっ血性心不全、超低体温循環停止、大動脈遮断時間、トラネキサム酸が含まれていた。多変量回帰分析で、トラネキサム酸は、発作の強力な独立予測因子(OR 14.3、95%信頼区間 5.5-36.7、P<0.001)であった。痙攣患者は、非痙攣患者に比べて、院内死亡率が 2.5 倍、入院期間が 2倍長く、集中治療室在室期間の平均(IQR)は、それぞれ 115(49-228)時間と 26(22-69)時間であった(p<0.001)。トラネキサム酸の投与量、特に 80 mg/kg を超える用量は、術後の痙攣発作のリスクを考慮する必要がある。

人工心肺を伴う心臓手術中の中等量トラネキサム酸とけいれん発作:発生率と臨床転帰
4883 人の心臓手術患者を後ろ向きにデータ分析して、トラネキサム酸非投与患者群と比較した中等量トラネキサム酸(24mg/kg)を投与された患者の痙攣発生頻度を調査した。トラネキサム酸与群の傾向スコア補正オッズ比は、1.703であった[95% 信頼区間(CI): 1.01-2.87; P=0.045;発生率 2.5% vs 1.2%]。開心術では、中等量トラネキサム酸でさえ、痙攣発作と院内死亡が 2 倍の頻度で起こる。

低用量トラネキサム酸は、高用量のよりも、人工心肺併用心臓手術後の非虚血性痙攣発作のリスクを低減する
人工心肺下の心臓手術を受けた合計 12195 例の患者を対象として、外科系集中治療室で診断されたすべての臨床痙攣発作事例を検証。低用量トラネキサム酸は、1000mg ボーラス、400mg/時注入、人工心肺プライミングに 500mg、高用量は、30mg/kg ボーラス、15mg/kg/時間、人工心肺プライミングに 2mg/kg と定義。抗線溶剤非投与患者 886 人に痙攣発作はなかった。集中治療室で合計 98 件の痙攣発作(0.8%)が記録された。低用量トラネキサム酸は高用量よりも痙攣発作が少なかった(42/7452[0.70%] vs 34/2190(1.55%)、p<0.0001)。心室を開く心臓手術は、血行再建術と比較して痙攣発作の発生率が高かった(80/6662(1.20%)vs 11/5533(0.20%); p<0.0001)。

小児心臓手術におけるトラネキサム酸の安全性:全国データベース研究
傾向スコアのマッチングによって、トラネキサム酸投与が有る患者とない患者から成る 3739 組の患者対ができた。傾向一致分析では、痙攣発作の割合は、トラネキサム酸群では非トラネキサム酸群より有意に高かった(1.6% v 0.2%、差 1.4%、95%信頼区間、1.0~1.9、p<0.001)。

[!]:トラネキサム酸は催痙攣性を有しておりトラネキサム酸を使用した心臓手術後に 1% 程度でけいれん発作が生じる。血行再建術よりも開心術の方が多く発生する。低用量の方が発生率は低い。80 mg/kg 超の用量は危険である。心臓以外の手術では使用量も少ないためかほとんど報告はない。

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