様々な臨床現場における気管挿管時の無呼吸酸素化の有効性:記述レビュー

・気管挿管の過程で、患者は無呼吸または低換気であり、低酸素になる危険性がある。このリスクは、急性または慢性の呼吸不全およびそれに伴う呼吸予備能の低下を伴う患者において特に高い。この懸念に対処するために、気管挿管中に無呼吸酸素化を行うことによって動脈血酸素飽和度を維持するのに役立つ可能性がある。この記述レビューの目的は、手術室、集中治療室(ICU)、救急部門、および入院前の環境における無呼吸酸素化の利用を調べ、その有効性を対照と比較して判断することである。

・この記述レビューのために、著者らは、MEDLINER(1946 年から 2016 年 4 月まで)、EMBASE(1974 年から 2016 年 4 月まで)、Google Scholar、手検索を使用して関連記事を入手した。無呼吸酸素化は、鼻プロング、鼻咽頭もしくは気管内カテーテル、または喉頭鏡の使用を含む様々な手法を用いて投与された。

・最初に、全 12 件の手術室での研究は、無呼吸酸素化が酸素飽和度低下までの期間を有意に延長し、発生率を低下させた。第二に、5 件の ICU 研究のうちの 2 件は無呼吸酸素化による酸素飽和度低下が有意に小さいことを示し、3 件の研究は対照に対して統計的に有意な差を示さなかった。最後に、2 件の救急部または入院前の研究は、無呼吸酸素化の使用が酸素飽和度低下発生率が有意に低く、小さな酸素飽和度低下をもたらすことを示した。

・19 件の研究のうちの 16 件は、無呼吸酸素化が安全な無呼吸時間を延長し、そして動脈酸素飽和度低下の発生率を減らすことを示した。全体として、このレビューの研究は、無呼吸酸素化が気管挿管中の酸素飽和度低下までの時間を延長することを示している。それにもかかわらず、大部分の研究は規模が小さく、それらは呼吸器有害事象や他のまれな重症合併症を検出するために測定しておらず、また十分な証明能力もなかった。長時間の無呼吸酸素化(その結果として生じる高炭酸症)はリスクを伴う可能性があり、頭蓋内圧上昇、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、肺高血圧症などの症状のある患者では回避する必要がある。

[!]:手術室だけでなく、ICU や救急部、救急搬送中などでも無呼吸酸素化の有効性が証明されている。しかし、それに伴うリスクもあることから実際に行う場合には、十分な配慮が必要だ。

【出典】
The effectiveness of apneic oxygenation during tracheal intubation in various clinical settings: a narrative review.
Can J Anaesth. 2017 Apr;64(4):416-427. doi: 10.1007/s12630-016-0802-z. Epub 2017 Jan 3.

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